2023/07/07

星祭り

昨年買った鉢植えの笹が順調に育っているので、今年もドールに浴衣を縫って七夕のお祝いをしようと思いました。しかし、日本でドール服用の布をどっさり買って帰ったものの、浴衣に相応しい布は全く調達していない事に、イギリスに戻ってから気付きました。予め日本で買うべく手芸用品のリストを上げていたのに、他にもいっぱいあり過ぎて、浴衣用の生地と言うのはすっかり頭から抜け落ちていたのです。

和柄の生地なら一応幾つか買って来ましたが、どう考えてもフォーマルな着物向けの布ばかりで、浴衣としてはピンと来ません。浴衣は着物の中ではカジュアルなのだから、何も和柄の生地に拘らなくても構わないはずですが、七夕祭りに限って言えば、正統派和風のしっとりはんなりなイメージの方が絶対しっくり来ると思っていました。それであれこれ手持ちの布を出して来て見比べ検討した結果、随分前に買っていたアメリカ製の花柄のカット生地で、七夕祭り用の浴衣を縫う事にしました。

綿ローンに近い、薄く滑らかな生地です。全く和風ではないものの、古風でしっとりなイメージはあり、前々から浴衣や着物に似合うだろうとは思っていました。市販のカット生地には珍しく、ドールの着物を裁つのに十分な長さ (横長だけど) はありましたが、27cmドール用の着物を作るのには本当にギリギリの面積でした。

均等な散らし柄なので、布を裁つ時に柄の出方を考慮する必要はありません。しかしそう言う柄の生地は着物としては地味になり勝ちですが、これは意外と大人し過ぎず仕上がったと思います。

後々着物としても着付けし遊びたかったので、袖丈は中振袖にしました。

帯は、使い回しの会津木綿製。単純に、これが一番この浴衣に合うと思ったからです。

七夕飾りも、昨年の使い回し。1/6ドールにとっては明らかに大き過ぎる装飾ですが、笹の葉の大きさを考えると、この位が妥当かなあと。この配置も、あーでもないこーでもないと何度も換えてバランスを取り直しています。

今日七日の夜は、イギリス南東部では晴れそうですが、日本はどうでしょうか?

団扇は、セリアのドル活コーナーで売っている例のアレに、自分で和紙を貼りました。元の「祭」と書いてあるシールを剝がすのが面倒だったので、単にシールの上に貼った方が楽ちんだったかも知れません。

柄や骨をアクリル絵の具で好きな色に塗るって手もありますが、時間が無いのと、万が一色落ちでもしてドールに移っては一大事なので止めました。

この帰国中の四カ月、ドール服を作りたい欲求がムクムクと湧いていました。こうなる事は予想出来たので、いっそ幾つか型紙を持って行って帰国中も作ろかとも考えていましたが、やはり慣れた道具や材料が揃っていないと難しいと実感。また、意外と時間も取れませんでした。こう言うのはスポーツと同じで、毎日のように続けていないと調子が出ません。これからドール服作りに慣れるまで、またしばらく掛かりそうです。




2023/07/05

ビンテージのレース・モチーフ・セット

 

規模の大きさの割にガランとしていて充実感に乏しくイマイチだったキングス・リンのアンティーク・モールでしたが、買いたい物にはちゃんと出会えました。それが、この古いレースや機械刺繍のモチーフ達です。全部纏めて、5ポンドだったと記憶しています。勿論、ドール服に利用出来そうと思い買いました。

小さな刺繍のモチーフと言うかアップリケ自体は、今でも売られている物と大差なく見え、そうビンテージらしさがある訳ではありません。

しかしパッケージを見ると、1950年代のアメリカで売られていたと分かり興味深いのです。

裏面の使用例のイラストは、いかにも50‘sらしさに溢れています。

 一つだけ大き目の刺繍のモチーフは、白と緑の組み合わせが清楚。

この白いレースのモチーフは、早くドール服に生かしてみたくなる程一番のお気に入りです。同じ物が6枚程あり、これらが入っていた紙箱にも、50年代らしいクリスマス・シールが貼ってありました。もしかしたら、このモチーフ達は全て同じ持ち主から渡って来たのかも知れないと想像しています。




2023/07/03

キングス・リンのアンティーク・モール 1


2月の小旅行先にノーフォーク州のKing’s Lyne キングス・リンを選んだのは、イースト・アングリア最大のアンティーク・モールが在ると言う情報を得ていたのも理由の一つでした。実際には、キングス・リンの一歩手前のSetchy セッチ―と言う村に在ります。広大な専用駐車場も手前に完備されていて、訪れ易そうです。

 「The Warehouse Antiques & Collectables」と言い、その名の通り巨大な倉庫の建物を利用しています。ただし左半分は「世界のビール店」で、奥には飲食施設もあるようです。

アンティーク・モールの中に入って最初に目に入ったのは…、ん?新品のシュタイフの縫いぐるみ売り場? ここはイースト・アングリア最大のシュタイフ専門店だそうですが、イギリスでシュタイフを買う気はしません。

アンティーク・モールそのものの売り場は、こうなっています。確かに広い。

…広いのですが、何だか間延びしていると言うか、通路もやたら広くとられ、小綺麗に整理され過ぎていて、肝心の商品が然程多くないのです。

アンティーク・モール特有の、何処にお宝が潜んでいるか分からない、心ときめくゴチャゴチャ感に乏しいと言うか。綺麗好きな人ならホッとするかもですが、そもそもアンティーク・ファンに清潔に拘る人が居るだろか()

全体的にセンスが好み~と思えるストールも、残念ながらありませんでした。

棚そのものだけが可愛く、並べてあるのは古くもなければどーってことない物ばかり。

こちらにも、縫いぐるみコーナーがあります。今まで聞いた事はありませんでしたが、「Hansa」と言うメーカーの製品だそうです。

リアルで尚且つ可愛く、良く出来た造形です。おまけに、値段もそれ程高くありません。種類も豊富で、哺乳類のみならず魚から虫、恐竜や空想上の生き物の縫いぐるみまであるそうです。

もしP太への誕生日プレゼントを買う前であったら、ここで彼用にキツネの縫いぐるみを買ったかも知れません。

トランプ柄の螺鈿?の箱は、珍しいデザインで美しいと思いました。

多分姉が望む蜻蛉型アクセサリーって、こんなのではないかと思うのですが、値段的に手が出ません。これすらアール・ヌーヴォー「調」で、本当のアンティークではないようですが、銀製でしかも状態の良い七宝だから高価なのです。

折角の美しいラリック社のガラスのプレートが、分かり辛~く展示してありました。

こちらのホーンジーの「世界一」シリーズのマグも、ガラスケースの奥底に隠れて、非常に見え辛い…。

ヴィクトリアンではない、シンプルな60年代辺りのシンプルなドール・ハウスの家具には惹かれます。

引き出し式のお裁縫箱は、自分で持っていた事はなくともノスタルジックな可愛さ。

 

悪趣味な売り場は、このモールにもあります。

多分主に地元のイベント用とかに手作りしたのではと思いますが、この子供が泣き出しそうな毒のあるセンスはイギリスならでは。

一体誰が買うの?と思えるようなアイテムでも、こうして面白がって写真を撮るヤツが居るのだから、客引きパンダ的の効果はあるんでしょね。 

一番奥は古書専門スペースで、まるで図書館のようになっていました。

児童書のコーナーには、結構惹かれる昔絵本も混じっていました。

 その表紙。

この絵本は、木版画のようなタッチが独特で魅力的。

中面は切り絵のよう。

最後に、お隣の「世界のビール店」も一応覗きました。

こちらも、正直無駄に広いって感じでした。特に珍しいビールはないし、今時スーパーでも世界各国のビールが売られていて、それに比べても値段が割高で、おまけに肝心の地元ビールも充実している訳ではありません。

日本のクラフト・ビールはありました。

大きさの割に、少し期待外れのアンティーク・モールでしたが、やはり実際訪れて見ないと分からないとは思います。そして、そんな余り期待出来ない場所でも、お宝に出会えないとは言い切れないのが、古物の面白い所です。


2023/07/01

ノーフォークの旅の始まり

帰国のレポートの前に、帰国直前の2月に夫婦で出掛けた小旅行の記事を書きたいと思います。何せその後4カ月間もP太と一緒に過ごせなくなり、特に毎年恒例の誕生日や結婚記念日の旅行も今年は出来なくなる為、観光に相応しい季節では全くなかったけれど、前以て二人で出掛ける事にしたのです。目的地は、前々から行ってみたかったノーフォーク州のKing’s Lyne キングス・リンと言う町。天気の悪いイギリスの冬でも、東部なら少しは晴れる可能性がある、と言うのも選んだ理由の一つです。しかしノーフォークの中でもほぼ北西端のキングス・リンは、交通の便が悪く地味~に遠く、州内で一泊する事にしました。高速道路はケンブリッジまでしか通っておらず、その先の大聖堂都市Ely イーリーからでさえ、かなり行くのに時間が掛かります。

やっとキングス・リンに近付いて来た時、運河の脇の駐車場で車を止め、持って来たお弁当を食べました。土地の標高差の少ないイギリスの中でも特に平坦な、いかにもノーフォークらしい田園風景が続いています。

道路より運河の方が一段高くなっている不思議な光景も、イギリスならでは。

この先がキングス・リン方面のようです。並んでいる巨大なタンクは、穀物貯蔵庫ではないかと思われます。―――そんな訳で、今となっては相当季節外れですが、2月のノーフォーク旅行のレポートを始めます。