昨年の晩秋に、以前から紅葉の季節に観たいと思っていた、イギリス屈指の紅葉の名所Stourhead ストウヘッドを夫婦で訪れ、いよいよここの目玉である、イギリスを代表する風景式(景観)庭園にやって来ました。
期待通り、紅葉の進み具合もお天気も、この上ない程理想的です。
湿度も低いようで霞んでおらず(イギリスでは割と珍しい)視界が良く、風もほとんど無い為に水鏡の美しさが際立って見えます。
ここの風景式庭園は、御覧の通り湖中心に囲むように作られています。
規模的には、他のNT(ナショナルトラスト)の宮殿級豪華邸宅の風景式庭園に比べると然程大きくありませんが、変化に富み充実した美しさでは群を抜き人気を集めているようです。
この湖はやや南北に長い二等辺三角形のような形をしていて、スタート地点は三角形の底辺部分の右端です。北と南のどちらから歩き廻ろうと考え、底辺、すなわち南岸から時計回りに歩くことにしました。この時は午前11時前だった為、太陽の方角から対岸に日光が当たるので、撮影に都合良かったからです。
しかし、この旅行中は二日間とも雨は降りそうもないからと、歩き易い普通のスニーカーを履いて行きましたが、天気は良くとも草地は朝露で半端なく濡れており、すぐにスニーカーがびっしゃびしゃになりました(涙)。
教訓! イギリスの夏以外の旅行は、雨が降らなくとも防水の靴が必須です。ちょっとした事で草地に踏み込んでしまう機会は大いにあるし、遊歩道自体が凄くぬかっていたり、濡れた落ち葉が堆積していたりするものです。
この庭園は、18世紀後半に当主ヘンリー・ホーア二世に寄って築かれました。ヘンリーは、クロード・ロランや二コラ・プッサン、ガスパール・デュゲ、アンドレア・ロカテッリ等の画家の古典的な風景作品に触発され、この庭園を拘り抜いて設計を依頼したそうです。
ヘンリーは建築物マニアでもあり、風景が寄り映えるよう、また寄り楽しめるよう、湖の周囲には様々な工夫を凝らした建造物を配置しました。本当に、ここは裕福者の私的テーマ・パークでした。
例えばこれは、正に岩山にしか見えない石橋。溶岩のようなゴツゴツした岩を積み上げて出来ています。火山国日本では然程珍しくない溶岩でも、イギリスでは相当遠くから輸送された贅沢品なのではと想像します。
この石…いや岩橋の下を村の目抜き道路High Streetが貫通し、車も通過するのがちと驚きです。
この岩橋を渡り更に急な山道を登ると、南岸の高台に立つTemple of Apollo太陽神の神殿へ続いています。ほぼ崖のようにせり出した高台なので、ここからの眺めは期待出来ます。
神殿の壁面の窪みには、ギリシャ神話に因む彫像が立っています。昔は全ての壁の窪みに彫像が並んでいたはずですが、今は幾つかはなくなっていました。
確かに、湖を見下ろすのには格好の見逃せない場所で、ここまで登る価値は十分あります。
対岸の丘の頂上には、家主一族の記念碑であるオベリスクが立っています。普段はこの丘にも登れるのですが、この時は安全性に問題があるとかで、丘への遊歩道は全面閉鎖されていました。
再び湖岸に降りると、湖の南西端に在る、段差と水圧を利用した大きな水車が見えました。湖の水はここからRiver Stow ストウ川となり、サマーセット州を通って大西洋へ流れます。
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