2025/06/27

秩父の旅 履物屋さんの私設民芸博物館

 

一昨年の姉との日帰り秩父旅行で、ちちぶ銘仙館での見学を終え、再び番場通りに戻る途中、東町通りに「たつみ履物店」と言う、いかにも老舗らしい古めかしい店構えの、和装用の草履や下駄を売る素敵なお店があるのを見掛け、思わず足を止めました。

中を覗かせて頂くと、センスの良い粋な履物がズラリ。店主さん、女将さんのお話では、東京からも着物愛好者が買いに来るそうです。

しかし、ガラス・ショーケースには、履物とは関係ない根付も並んでいます。日本の根付には、返って西洋人に凄く熱心な収集家が居る人気のアイテムです。 

こちらには民芸品が。不思議に思い、私達姉妹の故郷には三春駒や三春張り子と言う郷土玩具があると話すと、そう言う物に興味があるならと、特別に店主さんのコレクションの民芸品を見せて頂く事になりました。

お店とは別の入り口の、秘密基地のような迷路のような小部屋に、圧巻のコレクションがズラリ。

元々は店主さんが好きでコツコツと集めていた物ですが、その事が次第に周囲に広まって、御近所や御親戚、お友達からも受け取って欲しいとどんどん集まり、膨大なコレクションとなったとか。

限られた空間に出来るだけ多く収納出来るよう、良く考えられた備え付けのガラス戸棚には、文字通り所狭しとコレクションが並んでいます。

正に、天井近くまでぎっしりと。個人でこれ程の収集は、日本中を見渡しても中々無いのではないでしょうか。 

昔の手描きの羽子板にしても、凄い数です。

伝統的な郷土玩具、民芸品は勿論、明治・大正・昭和初期時代の玩具として貴重な物も沢山混ざっています。写真で見た事はあったけど、アール・デコ時代のモガ・スタイルの市松?人形とか。

アメリカのキャラクター、ベティさんの和製人形なんてのもあります。  

ほとんどが日本の物ですが、たまに海外の工芸品や、現代の玩具もちょろっと混じっています。

ビンテージと呼ばれるブリキの玩具も。 

江戸東京たてもの園の特別展示で以前見掛けたような、1/6ドールにぴったりそうなままごと玩具も多く、やはり日本人って昔からミニチュア好きなんだなーと思いました。小さき物は皆うつくし。

これだけの郷土玩具を集めて保持するのも勿論偉業ですが、改めて日本にこれ程郷土玩具の多い事に驚きました。

人形にしても、こけしのような木製、陶製、木目込み、陶製、土人形、和紙製の姉様人形、張り子等、実に多くの素材&形式が日本には存在します。

 全く怖くない、穏やかな表情の大きな正統派市松人形。

イギリスにも輸出されていたのを、アンティーク・モール等で何度か見掛けた事のある鬘人形。 

スピリチュアル好きな姉が後からこっそり話す事には、邪悪さはないけれど、魂が宿っていると言うか、念の籠った物もいっぱい感じ取れたそうです。これだけ古く、多くの人と関わって様々な経緯を辿って来た物達ですから、それも不思議ではないのかも知れません。

世界には魂を持つのは人間だけと信じられている宗教もある一方で、日本では昔から人形供養をしたり、「付喪物」と言う無機物でさえ時を重ねると魂を持つと信じられている、独特な文化、宗教観があります。人形や鏡等の人間の姿を「写す」物は、特に魂が宿り易いと言う人も居ます。

幸か不幸か私には霊感らしき物はないけれど、これだけ店主さんに大切にされ愛されているここの民芸品達には、きっと幸せな念が籠っているのではと想像します。見ず知らずの私達に、貴重な素晴らしいコレクションを見せて頂き、本当に有難うございました。





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