2024/11/03

セルロイド・シルエットの額縁ブローチ

 

九月のアーディングリーのアンティーク・フェアでは、ビンテージ・ジュエリーが一つどれでも3ポンドのコーナーで、自分用にこのブローチを買いました。縦約5×6㎝の楕円形の古風な装飾の枠の中に、驚く程繊細な合成樹脂製の透かし細工状のレリーフが嵌め込まれています。

この樹脂は、19世紀後半に象牙の代替品として開発され、20世紀前半には生活用品に広く使用されたセルロイドです。このようなセルロイドのレリーフのアクセサリーは、アール・デコ時代(1920年代)から40年代に掛けて主にフランスで製造され、俗に「セルロイド・シルエット」と呼ばれるそうです。モチーフは、馬車に乗る様子の、凄くスレンダーに表現されたヴィクトリア時代の紳士淑女。枠の厚みは5㎜程度ですが、この中に二層のレリーフが重ねられ、奥行き・立体感を出しています。

このレリーフは、裏面から見てもちゃんと絵になるよう、両面に型押しされています。実際こちら側が表面にされている(ピンが逆面に付いている)動画らのブローチも、ネットで見掛けました。

ネットを眺めると、この手のブローチを「carved=彫刻された」と記している場合もありますが、実際にはセルロイドを鋳型に流して、型押し&型抜きして製造していたはずです。部分的には糸程の細さしかなく、象牙の代用品として製造されたセルロイドとは言え、当然象牙は手彫りなのでこれ程の細かさは表現出来ません。

今までもこの手のビンテージ・ジュエリーは何度か見掛けましたが、これ程大きいのは初めてでした。それが、たった3ポンドで手に入るなんて。凄く好み、お洒落に使えそう、誰かのプレゼントに合いそうと言う訳ではないけれど、見逃せない素晴らしい技術だと思い購入しました。セルロイドは決して強度な素材ではないのに、こんな繊細な造りで、良くぞ今まで破損せずに居たと感心します。一か所折れてはいますが、欠けてはいないので十分です。ネット・オークションでは、同じ物が1万円以上で売られている事もあるようです。

 

 

 


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