2024/05/20

オールドホールのグレービー・ボート

 

山小屋風チャリティショップで、ミッドセンチュリーのスタイリッシュなメタルウェアとして人気のブランドOldhall オールドホールの、gravy boat グレービー・ボートに出会いました。オールドホールの製品は今でも古物として良く見掛けますが、グレービー・ボートを見るのは初めてかも知れません。イギリスではgravy グレービー、すなわち肉汁ソースは、肉のローストには欠かせません。それを入れるための器もまた、イギリスでは出番の多い食器です。円柱に近いタイプのソース入れは、グレービー・ポットかグレービー・ジャグと呼ばれますが、こんな細長いタイプはグレービー・ボートと呼ばれます。

元は、受け皿が付属していた物と思われます。日本の昔のカレー・ルーのパッケージの調理例写真や、デパートの最上階レストランのカレー、つまり「絵に描いた」カレーと言うと、大抵こんな形の金属製の器に入っていました。家で食べるカレーライスのスタイルと随分違う、どちらかと言うと「アラジンと魔法のランプ」に登場するランプみたいだ…と子供心に思っていましたが、今思うと、日本のカレーはインドではなくイギリス経由で入って来た料理なので、その器もイギリス風だったという訳です。

フランス料理と違い、食に関して非常に保守的なイギリスには、凝った独特なソースで料理を楽しむ文化はありません。ポークにはリンゴ・ソース、ラムにはミント・ソース、チキンやターキーにはクランベリー・ソース、ロースト肉全般にグレービー、または好みでケチャップかBBQソースかブラウン・ソース(ウースター・ソースのような物)と、決まり切っています。この内今はグレービー以外は、売られているガラス瓶のまま食卓に出すと思われ、ソース用の器の出番はないかも知れません。例外としてグレービーかデザート用のカスタードはソース入れが必要ですが、それらも大抵はインスタントをお湯、または温めた牛乳で溶くだけです。




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