吉祥寺のユザワヤでこの苺柄の布地に出会った時に、一目でmomoko DOLL用の着物を作ってみたいと思いました。その時は姉と一緒だったので、「この布でモモコの着物を作ったら素敵じゃない?」と聞いたら、「おっ、良いねえ」と姉も即座に賛同しました。
1/6ドールには持って来いの細かい均一な柄で、しかし色味自体は賑やかでメリハリもある為、着物に仕立てても大人し過ぎにはならなさそうだと思いました。また、苺柄なのに全く子供っぽくない点も気に入りました(思いっ切り子供っぽい苺柄も好きだが)。
この生地で着物を作るのであれば、今までモモコの中では(昨年増えた新顔除く)着物を着せた事のない「ヒースの妖精」を是非モデルにしたいと思いました。
…って思い付いたのは、昨年の帰国ではなく、五年前の帰国時の話です。つまり布は買ったものの、五年も実行せずにほったらかしにしていました💦
折角一目でインスピレーションが湧いた貴重な布なのに、何故長く手を付けなかったかと言うと、多分ローンの薄くしなやかな生地なので、着物にするにはコシや張りが足りず面倒臭そうだと思ったからと言う、ほんの僅かな躊躇と不精のせいです。他に作りたいドール服を優先させ、どんどん後回しにしてしまったと言うのもあります。
しかし実際に着物に仕立ててみたら、薄い生地でも特に作り辛くはなかったし、ローンは薄い割には張りがあり、ドールに着せても何か不都合って事は全くありませんでした。
返って厚目の硬い布だと、肩の縫い合わせ部分が縫い代の厚みで強張ってしまう事が多いのに、薄い柔らかい布はそれが出ず割とスッキリと着こなせるように思います。
ただし大振袖等にする場合は、表生地が薄過ぎると、裏地や袂袖の重みに耐え切れないし、透けたりモタ付いたりで不自然に見え、そもそも最正装の重厚感が出ないと、以前極薄綿ローンで大振袖を縫った時に実感しました。
とりあえず狙った通り、この金髪のヒースの妖精さんでも違和感のない着物に仕上がりました。我ながら、嫋やかな中にも凛とした彼女にピッタリだと思います。
全く和風ではない柄布なのに、不思議と着物に馴染みます。ウィリアム・モリスの「苺泥棒」を思い出させる、ちょっとアーツ&クラフト風のクラシックなプリントです。ところで予め話には聞いていましたが、今回帰国した際、日本の巷でモリス柄の商品が溢れている事に改めて少し驚きました。
特に、100円ショップでさえも大量にモリス柄グッズを売り出していて、こんなに簡単に手に入るのでは、最早モリス柄をイギリスからのお土産にした所で(どうせ中国製だし)価値も意味もない💦 もしかしたらモリスの死後から一定期間が過ぎ著作権がフリーになった為、これ程一斉にモリス柄の製品が出回ってるのでは?と言う話も出ましたが、著作権なら既にとっくに切れている(日本もイギリスも死後70年)はず。
最初は浴衣にしようと考えていましたが、もう少しだけかしこまった雰囲気にしたかった為、半襟や帯締めを加えて、ちょっとしたお出掛け単衣のイメージで作ってみました。
布の縦幅が、私の使用しているモモコ・ドール用の着物の型紙にはほんの少し足りませんでしたが、おはしょりを少なめにして調節する事に。
帯は会津木綿。結びはお太鼓にしています。以前もこの布でお太鼓の帯を作りましたが、姉に上げてしまったので再作成しました。この苺柄の布でドール用の着物を縫おうと閃いた時から、帯は赤系でと思い描いていました。
背景の布は、竹久夢二柄のミニ風呂敷なのですが、ドールを立たせて撮影するのにはギリギリの面積しかなく、ちょっと苦労しました。そして写りが悪いらしくて、カメラで撮った写真は皆異様に暗く、大幅に調整しました。インスタ用の写真の方はスマホで撮影しますが、今時のスマホのカメラはAIで勝手にリタッチしてくれるので(最早ほとんど嘘付きレベルだけどね…)、そちらの方が余程写真の出来が良く簡単です。
元々綿ローンは、目が緻密で解れにくいのに針通りは良く、アイロンは利き易く、柔らかいのでギャザーが綺麗に寄り、適度な落ち感があるからドレープも自然に出る為、ドール服を縫うのには最適な素材の一つと言われています。この布で洋装を縫ってみても、また違った魅力が出て面白いと思います。
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