2023/12/24

胡桃割り人形

 

クリスマス・ツリーのオーナメントとして、胡桃割り人形のミニチュアが売られているのを良く見掛けます。前々から持っていたらドールに使えそうと思っていたところ、街の1ポンド屋で買う事が出来ました。

今はこう言う安価なオーナメント類はほとんど中国製ですが、これは珍しくポーランド製でした。

イギリスの実店舗の特に季節商品は、一度売り切れると二度と入って来ないので、即座に買って置きましたが、案の定23日後には売り切れていました。

スーパーマーケットTESCOでも、胡桃割り人形のミニチュアのツリー・オーナメントが安く売られているのを見掛けましたが、現代っぽくパステル・カラーにアレンジされていました。それもまあまあ悪くない出来でしたが、こちらの伝統的な色の方が、ドールの撮影にとっては分かり易くて向いているだろうと思いました。

このミニチュアに合わせるドールの衣装は、当然「胡桃割り人形」の主人公クララ(時々マリーorマーシャ)のイメージです。

しかしクリスマスの定番の赤ではなく、クリスマス柄でもなく、ミニチュアが映える淡い色が良いと思い、単なる上流階級風のクラシックなドレスにしました。

使用した布は、多分日本製だと思いますが、ピンストライプに古風なバラ柄の入った結構お気に入りの生地です。しかしこの生地だけだとドレスとしてはどうにも地味で、スカートの上にビンテージ・レースを重ねてやっと少し華やかになりました。

チュール・スカートもそうですが、かな~りドレープを寄せないと様にならず、このチュール・レースも土台のスカート生地の倍近い長さをギャザーで寄せています。

しかし、レースを重ねても未だボヤけた印象だったので、最後にウェストにワインレッド色のリボンを付けて、やっと引き締まって見えました。

このブルネット縦ロールのお嬢様なリカちゃんモデルに選んで、かなり救われています。久々に撮影してみて、あれ?このリカちゃん、こんなに大人っぽかったっけ?と思いましたが、リップの色を換えたからのようです。この手のリカちゃんは髪型が崩れ易いので、普段はガラス・ケースに入れて立たせたままなのです。

大人っぽく見えるのは、スカートの丈が希望より長めに仕上がってしまったので、ボディをリカちゃんより少し背の高いピュアニーモ・フレクションSに換えたせいでもあります。

背景は、今年のうちのクリスマス・ツリーです。飾り付けは毎年同じですが、今年は全体的な樹形や幹の太さ、葉の密度が理想的!と思えるツリーを買う事が出来ました。いつもの年より、少し背が高目です。

それでも、コーヒー・テーブルの上に乗せているし、我が家はイギリスの家にしては天井が低いから、イギリスにしては小ぶりのツリーです。

イギリスは一般家庭でも天井に届く程の大きなツリーを飾る事が多く、もしジョージアン様式とかの古い家だったら、その天井も3m近くあるだろうから、日本人にとっては驚きの大きさのツリーになります。

毎年世界中の大勢のキリスト教徒の家庭が、生の樅の木を買ってクリスマス後には処分するのですから、正直環境にはかなり厳しい習慣です。

その為に、我が家ではかつては鉢植えの樅の木を買って、毎年使おうと考えていましたが、どんなに気を付けていても、独特の極小のアブラムシに襲われて枯れてしまいました。また、例えアブラムシの攻撃から生き延びても、葉ぶりの乏しい悲しいツリーになってしまう為に、遂には鉢植えは諦めざるを得ませんでした。

返って日本で御馴染みのプラスティック製の樅の木の方が、毎年使えて環境には良いのです。しかし、この針葉樹の清々しい香りの豊かさを体験してしまうと、人工樹にするのは悲し過ぎてどうしても気が進まず、毎年葛藤を繰り返しています。

買った樅の木が既に理想的な形だった為、形を整えるのに切り落とす枝は今年はほとんど出ませんでした。その為、クリスマス・リースを作るのに樅の枝が十分ない事に、少々焦りました。

最初は直径の小さなリースにしようかと思いましたが、それでは樅の枝との大きさのバランスが悪く、結局庭からローズマリーの枝を刈り取って混ぜ、更に既に飾ったツリーの株の枝をこっそり切り取って何とか完成しました。

何故胡桃割り人形がクリスマスの定番モチーフなのか?と言えば、ホフマン原作、チャイコフスキー作曲のバレエの物語がクリスマス・イヴを舞台にしているから、と言うのは勿論あります。

が、それ以前に、欧米ではナッツ類はクリスマス時期の定番スナック、と言うのがあるからかも知れません。イギリスでも胡桃やハシバミ、ピーカン、ピスタチオ等の殻付きのナッツは結構贅沢品ですが、年で一番のお祭りクリスマスともなれば、ここぞとばかりに大量に食べるようで、季節が近付くとナッツ類の大袋が店頭に並びます。

そしてナッツを割る為の胡桃割り人形は、幸運の象徴の贈り物として好まれたそうです。

この胡桃割り人形の原型は、元々はドイツ東部のエルツ地方の特産品として有名です。ナポレオン戦争後に荒廃したドイツで、ナポレオンを模した人形に胡桃を割らせて鬱憤を晴らしをしたとか、普段威張っている王様や兵士をモデルにしているとか伝えられています。人形型をしていなくとも、恐らくペンチ型とかの胡桃割り自体は、四百年位昔から存在すると言われています。

ただし現代の胡桃割り人形の多くは単なる装飾品で、実際に胡桃を割る事の出来る仕組みではないそうです。

エルツの木工芸品は大好きだけど、本物の胡桃割り人形を欲しいとは…、デカいし顔怖いしで思いません()。例え幸運の象徴でも、このミニチュアで十分。―――それでは皆様、素敵なクリスマスをお迎え下さい。

 

 

 


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