山小屋風チャリティショップで、イギリスではちょっと珍しいタイプのクリスマス・デコレーションを三つ手に入れました。どれもリボンのような細長い布地に、クロスステッチが刺繍してある壁掛けです。三つ共、同じ作者の作品と思われます。その一つには「GOD JUL」と書いてあり、スウェーデン語で「メリー・クリスマス」を意味するとはすぐに分かりました。これら自体がスウェーデン製かどうかは定かではありませんが、図案、もしくはキットはスウェーデンでデザインされたと確信しています。上下に付いた金具も、こう言った細長い壁掛け専用に作られた物だと思います。
まず一番大きな赤地の物は、幅7cm×長さ55cm(金具除く)位あります。
下部のベルは、ずっしり重く恐らく真鍮製で音色が美しく、元から金具に付いていた物と思われます。
刺繍のモチーフは、樅の木、キャンドル(スタンド)、鐘の繰り返しで、最後にハート三つ。中央の鐘のみ、図案は同じでも刺繍糸の色を替えてあります。赤い地色は少し褪せ気味で、良い感じに落ち着いて見えます。
中間の大きさの物は、幅6×長さ45cm位。これのみ、下部に金具が無くベルも付いておらず、単に三角形に折られています。
図案は、やはり樅の木、鐘、キャンドル、それにクリスマスの妖精小人ユールトムテ(ニッセ、トントゥ)と、ユールヤータ(市松編みのハート型オーナメント)が加わり、北欧らしさが増しています。
刺繍糸には、金色も使用されています。
上記の二つは各1ポンドでしたが、この一番小さな物だけ50ペンスでした。しかし、小さい分刺繍の密度が高く一層細かく、実はこれが一番手間が掛っているのではと思います。そもそも、布地がクロスステッチ用のコングレスではなく、普通の粗目の平織り生地です。布部分の大きさは、大体幅4×長さ22cm。モチーフの中心は、やはりクリスマスの妖精の男女のユールトムテで、それに樅の木やトナカイ、犬(?)、星、ハートなどが描かれています。全体的に刺繍糸が色褪せ、優しい雰囲気に。
下部の金具の先に付いた四角っぽいベルは、分厚い真鍮で出来ており、甲高い良い音色がします。このベルのみ、インド製のように見えます。
このような縦長の布製のクリスマス用壁飾りは、手刺繍ではなく市販のプリント品も含め、またタペストリーと呼ぶ程大きく幅広い物も含め、スウェーデンやノルウェー、デンマーク等の独特の物のようで、イギリスでも北欧製のビンテージとして時折見掛けます。一体これは何なのか? 特別な名称でもあるのかと調べて見ると、英語ではbell pull (またはbellpull)ベルプルと呼ばれる事が分かりました。元はその名の通り呼び鈴を引っ張る為の実用的な紐でしたが、次第に凝った装飾が施されるようになり、それが現在はクリスマスのデコレーションとして残っているようです。その時の名残りで、先にベルの付いている物が多いのだと思います。イギリスでも実際に呼び鈴に使用された、ゴブラン等のアンティークのベルプルが出回っているらしいのですが、クリスマス用の装飾と言うのは北欧ならではかも知れません。
ベルプルは、刺繍を嗜まれる方には割と御馴染みのアイテムらしく、これに似た金具は日本でもユザワヤ等で普通に入手出来るそうです。ドアとか柱等、ちょっとしたスペースにも飾る事が出来るのが魅力です。
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