昨年秋に夫婦で訪れた、大聖堂マニアの私にとっては長年念願だったLincoln Cathedral リンカーン大聖堂で、ガイドツアーに参加して内部見学しています。セイント・ヒュー・クワイヤと呼ばれる聖歌隊席を去った後は、その奥の内陣の裏側(東側)へ向かいました。
普段この部分はアプトや周歩廊と呼ばれますが、この大聖堂ではAngel Choir エンジェル・クワイヤと呼ばれています。司教等の特権者の墓所になっており、複雑な彫刻の壮麗な古い石棺が並んでいます。
西洋の中世の貴人の石棺においては、蓋部分に原寸大の死亡時の姿を彫刻するのは良くある事ですが、この墓所の場合、その下に何故わざわざその後の朽ち果てた死体の彫刻を置くかなあ?? 多分「メメント・モリ=死を思え」って意味なんでしょうけど、このセンス、どうにも受け入れ難い。
尖った梁がやたらアナーキーですが、ゴシックの石棺に近年追加されたようです。
ピーターバラ大聖堂を訪れた際、16世紀の国王ヘンリー八世の最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンの墓所がある為、「王妃の眠る大聖堂」と記しましたが、実はこのリンカーン大聖堂にも王妃の墓所があります。13世紀の国王エドワード一世の妻、エレノア(エリナーorエレナ―)・オブ・カスティルの墓です。と言っても内臓だけがここに埋葬され、墓所と呼べるかは疑問ですが、立派な棺は安置されています。夫に捨てられ哀れな最期を遂げたキャサリンとは逆に、エレノアは生涯夫に愛され続け、リンカーン近郊で急逝した際の王の悲嘆は計り知れず、ロンドンまでの葬列の道順に愛のモニュメントとしてエレノア・クロスを建てたのは前途の通りです。しかしエリナーの棺もキャサリンの棺も、内戦時に清教徒軍にブッ壊され、現在安置されているのは19世紀の複製品だとか。
この大聖堂のシンボル・マスコット的な「Lincoln Imp リンカーンの小悪魔」の石彫(↑写真中央)は、このエンジェル・クワイヤで見る事が出来ます。元はグロテスクの一種だと思うのですが、大聖堂内で悪さをした為に天使に寄って石に変えられたとの、伝説としては余り捻りのない言い伝えを持ちます。
約90分間のガイドツアーは、ここで終了解散。これ以後は、各自自由に見て回れます。この日の外部は暑くも寒くもない気温でしたが、大聖堂の内部は異常に底冷えし、一箇所にしばし立ち止まらなければならないガイドツアーは、私にとってはほんっと寒くて辛く、正直終わった時にはホッとしました。
周歩廊の北側に宝物館のような部屋がありましたが、お布施がこんなに集まり贅沢品沢山買いました、これだけ権力持ってまっせ的な煌びやかさには、正直余り興味が持てません。
ただ、このアメシストの鏤められたミトラ(?)は美しいと思いました。
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