ガソリン高騰でお出掛けもままならない今、ドールのリペイントが最安で最大級の娯楽なので、毎週フリマでリペイント用の中古ドールを一体は練習用に手に入れる事にしました。選ぶポイントは、フェイス・プリントを替えればそこそこ可愛くなれそうな形成型の顔で、植毛技術は無いから髪は許せるコンディションで、また顔に酷い変色やペンのインク等の染み(子供の古玩具には多い)のない人形です。
その日のフリマで見掛けた中古人形は、相変わらずバービーかディズニーの姫人形、または例の激安系人形ばかりで、リぺしてみたいと思えるドールが中々見付かりませんでした。着せ替え人形を多く扱うストールには、熱心に選んで長居する子供or母娘客も多い為、中々割り込む隙がなく(流石に…)、良い獲物を逃してしまう例もあります。
その日は最後の最後に、このディズニーのフェアリー人形を買う事にしました。買った決め手は、欧米のファッション・ドールにしては珍しく丸顔で瞳の位置も下目な事、そして欧米の1/6ドールには珍しくハイティーンではなくローティーンがモデル(身長23cm)な事です。値段は1.5ポンドで、1ポンドにすら負けてくれなくて(売り主の孫娘の希望らしい)、フリマの中古人形、しかもリぺの実験台にしちゃ安くないと思いましたが、オリジナルのアウトフィットも着ていて状態も悪くなく、チャリティショップと比べれば手頃な値段なので最終的に買いました。
尖り耳系で、私にとっては初の人外人形のリぺです。ピーター・パンのディズニー独自の(と言うか勝手な)スピンオフ作品に登場する、ティンカーベルの友達人形の一人であろうと言う事は、ディズニーに全く興味がなく疎い私でもすぐに分かりました。
オリジナルのアウトフィットと言っても、どうしようもない安っぽさなんですが、このバラのプリント&プラ製のバラ・モチーフから、彼女の名前はロゼッタと言う事は分かりました。背中には、ベロクロ・テープで羽根が取り付けられていたようです。確かにティンカーベルの友達の一人で、もしかしたらティンクや他の友達と一緒にセット売りされていたのかも知れません。ボディは顔に対して結構バランスが良く、上半身が細目で腰は張っていて、どちらかと言うとピュアニーモSボディに似ていますが、あれ程手足がむっちりはしていません。足先は、バービー以上に爪先立ちの形です。可動域は、今時のアメリカのファッション・ドールで一番一般的な、肘膝は曲がらないけど腕脚は開く、首は傾ける事が出来るのみだと思っていました。が、オリジナル服を取り去ってみたら、momokoやオビツ・ボディのように胸下に切り替えジョイントがあるのは意外でした。
家に帰ってから少し髪を整えてみると、恐らく1/6サイズのファッション・ドールとしては初めて見る富士額が現れました! 実はこの富士額出しの髪型が、ロゼッタのデフォルトだそうです。髪色は、赤と焦げ茶色のメッシュ。オリジナルのアイプリは悪くなく、アメリカ・デザインのドールとしてはまあまあ可愛く、少なくともアニメのキャラ絵自体よりは相当可愛く、正直即効直したいと思う程好みじゃないのは、リップの色とオープン・マウス(これを直すのは無理)だけです。
アミェェーリカンな明るい笑顔に、妖精のはかなさや神秘性は微塵も感じられなかったので、少しでもミステリアスさを出す為、瞳の虹彩は薄目の色にしました。型押しの口が大きく開いている為、やはりオープン・マウスは無視出来ず、いやいやながら歯も描き入れました。それでこう仕上がりましたが、やっぱり未だどう見てもディズニー顔なんだよなあ…と少々がっかり。私の場合、ドールのリぺやカスタムは、雰囲気がガラリと変わった方が寄りやり甲斐を感じるから、今回は正直言って余り楽しくありませんでした。
リぺしたドールに服を作る際、予めリぺする前に目指すスタイルのイメージを決めて、それに合わせて彩色する事もありますし、リぺが仕上がってから顔に似合って映えそうなアウトフィットを考えて拵える事もあります。今回の場合は後者で、リぺの仕上がりを見てから服をデザインしようと考えていましたが、余りにディズニー過ぎて、仕上がったリぺを見ても中々着せたい服のイメージがまとまりませんでした。
出来ればやはり尖り耳を生かして妖精の格好をさせたいとは思いましたが、この子の髪色は強過ぎて夢可愛い雰囲気が合いそうもなく、元々のキャラのイメージであるはずのバラも合うようには見えませんでした。どちらかと言うと、同じ妖精でもfairy フェアリーではなく、 elf エルフかpixie ピクシーの方が相応しいと思い、最終的にピクシーの格好をさせる事にしました。
髪型はツインテで子供らしく元気いっぱいな雰囲気にし(しかし長さが不揃いな為三つ編みは無理だった…)、すると赤毛の為か長靴下のピッピを連想させるので、ボーダーのニーハイが似合う格好をさせたいと思いました。二つ分けにすると、植毛がそれ用に作られていない為に分け目にハゲが出来てしまいますが、現在の西洋のファッション・ドールの多くは、地肌が髪色にペイントされている為に余り目立ちません。
バービーの足より更に過激な角度の、爪先立ちしか出来ない足がどうにも不便で、お湯で矯正する手段とかはないかいなと検索しましたが、流石にそんな強引な事を考える人はいないようでした。
顔色がヘンに地黒と言うか…、現在のマテル社のドールに良く有る事で、顔のソフビの素材自体が妙に青ずんでいて汚い色なんですよね。顔の型もボディとのバランスも良く、特に手の平の形は抒情的で中々素晴らしいのに、勿体無いと思いました。
何はともあれ、庭の花々に馴染む雰囲気のドールにはなってくれました。
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