2022/07/03

ロシア民話の美しい絵本


昨年1950年代のオリーブ・オイルのレシピ小冊子等を買ったフリマのストールでは、この絵本も買いました。実はこの本が真っ先に目に入りましたが、これのみ平置きではなく目立つように立て掛けてあり、売り主のお気に入りで目玉商品であろう事はすぐに見て取れました。それに、確かに絵の繊細な美しさが、まるで光を放っているような高尚さです。なので、いかにも高そうで最初は値段を聞くのも躊躇していました。しかし、最後にフリマを去る際に一応値段を聞いてみると、売り主の女性は「背表紙がちょっと破けているんだけど…」と遠慮勝ちに1ポンドと言いました。私にとっては思っていたよりずっと安いので、即効言い値で買いました。売り主にとって思い出深い絵本なのは疑いようもなく、そんな中、この絵本の魅力を理解する私は、恐らく理想的な引き取り手かも知れません(笑)。

B4以上ある大きなハードカバーです。発行は1961年。これは見返しで、火の鳥を表しているようです。見返しは、前後共に同じデザイン。

「火の鳥」「人形の話」「イワンの馬鹿」「カエルの王女(…王子じゃないんだ!)」「マリア・マリーナの話」の、五つの物語が納められています。

この「人形の話」と言うのは、ドール好きにとっては気になる所。ロシア版シンデレラとも言うべき継母物で、不幸な境遇の主人公を実母の形見の人形が守る話のようです。

兎に角、絵が緻密で洗練されていてウットリ綺麗。ペンで細かく線画を描いた上に、淡彩で色付けした、または細い色鉛筆で描いたようなタッチです。

生憎そんな淡い繊細な色合いは、カメラでは拾いにくいのですが。

全身像が多く、躍動感のある美しいポーズは、漫画やイラストを描く人の参考になりそう。

フォークロア色が濃く、最初はすっかりロシアのイラストレーターの挿絵に寄る物だと思っていました。

その割には東欧独特のクセや力強さは全くないとは思いましたが、奥付を確認すると、実は出版元はイタリアで、イラストレーターもイタリア人でした。

 女性略奪? 大昔の話だけど、穏やかじゃないシーンだな~。

ところでロシアと聞くと、兎角今は良いイメージを持つのが難しいと思います。しかし、一般のロシア人やロシア文化には関係ありません。今世界中でロシア人とロシア料理店等が攻撃や嫌がらせを受けると聞いていますが、そんな事をする人は、控え目に言って救いようのないアホと言うものです。例えロシア国外に住むロシア人の中にもプーチン支持者が居るとしても、誰一人として攻撃して良い資格・権利は全くないし(心の中で馬鹿呼ばわりするのは構いませんが)、それで戦争が終わる訳でもないのです

ロシアには伝統工芸等の魅力的な文化が沢山あるので、早くこの残虐なだけで無意味な戦争と狂った政府が終焉を迎え、人々の暮らし易い国になる事を祈っています。


 

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