家でリンゴが大量に余って古くなって来た為、何かお菓子でも焼くしかないと思いました。イギリスのリンゴは概ね日本のより小ぶりな上、家で残っていたそのリンゴは特に小さくて、焼きリンゴにさえ不向きに見えました。ジャムは我が家では全く食べないし、その他手っ取り早くリンゴを大量消費出来るのは、アップル・クランブルです。クランブルはイギリスの代表的なデザートで、P太の好物なので良く作ります。が、私にとっては特に惹かれる訳でもなく、正直どーでも良いお菓子です。不味くはなく嫌いではありませんが、オーブンを使う割に大して美味しくも嬉しくもないって言うか…。他に何か簡単に出来るお菓子はないものかとググっていたら、「Dorset Apple Cakeドーセット・アップル・ケーキ」なる物が紹介されていて興味を引きました。
見付けたのは、イギリス崇拝タイプの日本人のサイト。ドーセットは南イングランドの州の名前で、変化に富んだ海岸線が特に人気ですが、そんな名前のケーキは、現地でも食べた事がなければ見た事も聞いた事もありませんでした。更に調べて見ると、ドーセット州内でも町に寄ってレシピや食べ方が異なり、また同類のリンゴのケーキがサマーセット州やデヴォン州にも存在するそうです。確かにサマーセットより西のWest Country 西国と呼ばれる地方はリンゴの産地として知られ、主にサイダー(リンゴ酒)に使用されますが、其処でもリンゴを使った土地の独特なお菓子なんて聞いた事がありませんでした。
作り方は、普段お菓子なんて焼かない人間にとってもそれ程面倒臭くなさそうなので、試しにこいつを作ってみる事にしました。レシピを見るとスコーンに似ているようで、クロテッド・クリームを添えて食べる地域もある事から、恐らくケーキとビスケットの中間のような物だと想像しました。
《材料》※バター、砂糖、牛乳1に対し、小麦粉2,りんご4と言うのが伝統比らしい
りんご 200g(中サイズ2個)
小麦粉 100g
ベイキング・パウダー 小さじ2
バター 50g
砂糖 50g
卵 1個
牛乳 50㏄
クルミ 20g ※軽くローストして刻んでおく
シナモン・パウダー 小さじ1
ナツメグ・パウダー 小さじ1
塩 少々
サラダ油orバター 少々
《作り方》
1.ボウルの中でバターを手で細かく千切りながら、振るった小麦粉、ベイキング・パウダーと馴染ませるように混ぜ合わせる。
※ズボラ・ポイント:バターを手で千切るのは、手がベタ付いて面倒なので木べらで刻みながら混ぜた。粉類を篩うのはすっ飛ばし。なんとかなるさ。
2.砂糖、卵、牛乳、塩を混ぜて生地を纏める。
※ズボラ・ポイント:ボウルの代わりに、底が平らで安定の良いガラス製キャセロールを使用。材料を加える度に量りの目盛りを0に合わせ、量りながら加えて行くので、洗い物の食器が増えない。バターは予め微塩タイプを使用している為、塩は加えない。
3.リンゴ一個分の皮を剥き細かい賽の目状に刻み、クルミ、シナモン、ナツメグと共に生地に混ぜる
4.薄くサラダ油かバターを塗ったケーキ型に生地を流し、上に残ったリンゴを食べ易い大きさに切って並べる。
※本当は上に乗せるリンゴはゴロゴロ大き目にカットするらしいのだが、火を通し易くする為に皮付きのままスライスして乗せてみた。
5.予め180度に温めたオーブンで20分程度焼く。中まで良く火が通ったら、型から出して冷ます。
一回目に焼いた物は、直径30㎝のタルト型を使用しました。小さなリンゴだったので、合計3個以上使用しています。砂糖は三温糖使用。茶色一色で我ながらお好み焼きにしか見えませんが(笑)、表面にも軽く砂糖、バター、シナモンを降っています。簡単なレシピから想像する通り、素朴なアップル・ケーキです。しかし、イギリスのお菓子にしては甘さ控えめでスパイスが利いて、意外な程の味わい深さでした。
クロテッド・クリーム代わりに、古くなって凝縮されギリシャ・ヨーグルト化して来た(おいおい)ヨーグルトを添えましたが、なるほどケーキに合います。飲み物は、やっぱり濃いミルクティーしか勝たん。
シナモンはリンゴには王道ですが、ナツメグもこんなに合うとは。兎に角、スパイスが良い仕事をしています。古い寝惚けた味のリンゴでさえ十分美味しく出来たので、酸味の強い新鮮なリンゴならもっと美味しいはずです。
と言う訳で、これは三回目の挑戦。直径20㎝のサンドウィッチ・ティンを使用し、こちらの方が生地の量に適しているようです。リンゴそのものも美味しく、確実に進歩・改善されました。
甘さ無しの生クリームを掛けてみましたが、ちょっとクドく感じ、正直ヨーグルトの方がさっぱりして好みです。
P太は、ストロベリー・アイスクリームを添えました。普通はバニラを添える所ですが、うちにはバニラ・アイスの買い置きがないもんで。甘いケーキに甘いアイスを添えるのは、イギリスでは定番の組み合わせ。
何故これを大々的に紹介したり、ドーセットのカフェやティールーム、またはパブのデザートして提供しないのか?? 元々食べ物に地域性がほとんど見当たらず、新しい馴染みのない食物を極端に恐れ、飲食店の独特なメニューも珍しいイギリスですが、やはり私はイギリス人とは一生分かり合えないだろうなと痛感します。
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