今年のいつものフリーマーケットの最終日で、非常に好みに合う古い絵本を手に入れました。背表紙の解れ傷みや子供の書き込み等のコンディションの難はありますが、イラスト自体は見逃せない可愛さです。しかし、そのストールを覗くのは二度目だったのに、一回目はうっかり見落としていました。
アメリカのGolden Pleasure Booksの1950年代の絵本だから、好みに合うのは道理です。これは見返し部分。サイズはB4強の、大判の絵本です。
表紙に作者名は記されていませんでしたが、中表紙にはMary Blair メアリー・ブレアとあります。メアリー・ブレアは、初期のディズニーでアニメーターとして活躍した経験のあるイラストレーターです。
内容は子供にとっての初めての歌唱の本で、「童謡」「遊び歌」「讃美歌とキャロル」「子守歌」「民謡と歌謡曲」「輪唱」に分かれています。
中面は、イラストと楽譜の構成。
まず最初に登場するNursery Songs=童謡は、アメリカでは「マザー・グースの歌」と呼ばれているはずです。
イギリスで代理出版していたHamlyn社が、わざわざイギリス英語に書き換えていたのかも知れません。
どのページのイラストも、額装したい程の可愛さです。
フルカラーではない二色使いのイラストも、しっかり可愛い。
猫がメインのイラストは、特にお気に入り。
犬よりも猫の方が生き生きとして描かれているような気がして、もしかしたらメアリー・ブレアは猫派だったのでは?と想像してしまいます。
幾つかの楽譜には鉛筆でコードが書き添えられ、元持ち主の家族全員に愛されていた絵本だったのが伺えます。
讃美歌やキャロルの混じっている所が、この時代の絵本ならではかも知れません。もし現代だったら、米英共に移民が急増し宗教が多様化しているので、キリスト教徒の歌のみ掲載するのは文句が来そうです。
左「きよしこの夜」と 右「樅の木」は、ドイツ語の歌詞付き。フランス語の歌も、幾つか掲載されています。
子供の頃、西洋の子守歌に比べ、日本のは「こんなんじゃ眠る気になれねーや」と感じる悲しい旋律の憂鬱な歌ばかりだと思っていました。
それもそのはずで、我が子への愛情を唄った西洋の子守歌に対し、日本の子守歌は児童強制労働させているベビーシッターが嘆いている歌なんですから。
アメリカの民謡って、どんなんだいと言いますと…
…「オー、スザンナ」とか「Yonkee Doodle(アルプス一万尺)」なんですね。
黒人霊歌と呼ばれる歌も、掲載されています。
ジングル・ベルは、元々はクリスマスの歌ではなく冬のソリの歌です。
私は音楽用語としての「Rounds」と言う単語を知りませんでしたが、右頁の歌が「フレール・ジャック」なので多分輪唱の事だろうと思いました。
これは裏表紙。本当に全てのイラストが可愛く、二回目で見落とさず手に入れる事が出来て、つくづく良かったと思える絵本です。
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