東京に住んでいた頃、出勤前にNHKの朝の連続ドラマ小説は大抵見ていました。今も日本に滞在する際は、姉の家で朝の連ドラを見ています。やたら主人公がでっかい独り言を言い、何かと行き付けの喫茶店に主要キャラ全員が集まって秘密を打ち明け(何故そんなわざわざ一番リスクの高い場所で…)、キャリアを目指しているはずの主人公が結婚すると何の計画&迷いも無く直ちに妊娠・出産して大喜びだったり、学芸会並みの演技や安直な演出が健在なのは日本の朝ドラならではで、正直久々に見ると慣れるのにしばし時間が掛かる世界です。
中には本当にイライラし過ぎる付いて行けない内容で、実際見続けられない物もありました。しかし現在放送中の「虎に翼」、略して「トラつば」は、自分的にはかなり楽しみに見ていました。OPの米津の歌と映像も良き。
最初は主人公寅子を演じる伊藤沙莉の声が、「朝ドラの主人公にしちゃ随分渋い声だなー」と気になっていましたが、今となっては甲高い可愛い声でペタ~っと喋る主役よりも返って現実的で、当時の女性としては珍しく物事をはっきりズバズバ言うキャラクターに相応しく、力強くて気に入っています。
寅子は社会人になる前は和装でしたが、いつも黄色の着物に赤い半襟をしていた組み合わせが、時代を切り開く主人公らしい知性と個性が感じられるピリッとした着こなしで印象的でした。一方で親友で義理の姉のとなる花江ちゃん(この女優さん、「全裸監督」で黒木香を演じていたと毎回姉が言う)は専らピンクのふわふわしたイメージの着物で、そんな服装のイメージの差別化の設定も面白く感じました。
そんな寅子の和服の着こなしを、リカちゃんで再現してみたいと思いました。
本当は寅子の着物は、いかにも昭和初期のビンテージらしい柄が魅力だったのですが、黄色地の着物の古裂なんて持ち合わせがあるはずもなく、そもそも探しても見つからなさそうです。黄八丈でもない限り、実際黄色の着物自体が結構珍しいのじゃないでしょうか。
この黄色地の小花(チューリップ)プリント生地は、イギリスかアメリカのパッチワーク用なのですが、柄が縦の一方向だけの上に、二部式にするのにさえ縦幅が足りなくて焦りました。しかし眩しい黄色よりは芥子に近い位渋めの色の方が未だイメージに近く、私の持っている布の中ではこれが一番合うと思ったのです。
帯は、またしても会津木綿の使い回しです。寅子は通学には着物に臙脂か海老茶の袴を着用していましたが、袴を縫うのは私には難し過ぎてパス。袴姿自体は好きなので、いつかは挑戦してみたいとは思っています
寅子の髪型は、女学生時代は前髪付き三つ編みでしたが、法学校時代は前髪無しの斜め分けになりました。髪は後ろで長いのを束ねて纏めているのかと思いきや、実は断髪に近い短さで、裾を外側に巻き上げていた(多分電気ゴテで)ようです。朝に巻く時間がなかったのか、ストレートのままで登校している場面もありました。
法学校を卒業し法律事務所で働き始めると、寅子は和装から洋装に変えます。それでも戦前は、荷物をバッグではなく風呂敷包みで持ち歩いていました。バッグより遥かに不便だと思いますが、当時の女性は慣れていたのでしょうね。こんなラフな持ち方ではなく、結び目が上になるよう丁寧に手で押さえていたと思います。
前半を部分的にしか観ていないものの(福島の実家に滞在中は見れなかった)、このドラマで印象に残るシーンは多々あります。寅子の同期・男装の麗人よねさんから、同じく同期の轟さんが寅子の初恋の相手・花岡さんを実は愛していた事を見抜かれるのも、その一つ。しかも花岡さんの亡くなった後で、凄くサラッと暴露されますが、それまで轟さんがゲイらしき傾向があった描写は多分無く、更に連ドラに同性愛者が登場するのはこれが初めてだとか??で、結構衝撃的なシーンだったそうです。
今年の日本に滞在中は、数年前にNHKで放送された、光源氏が現代社会にタイムスリップ(?)するドラマ「いいね! 光源氏くん」も見ました。主人公は伊藤沙莉だしテーマは「光る君」だし、今年見てこそ面白いドラマです(光くんが子供から「おじゃる丸」呼ばわりされるのが何とも…w)。また昨年アマプラで見た、現代人が源氏物語の世界にスリップする映画「十二単を着た悪魔」でも、伊藤沙莉が好演しています。
イギリスでもNHKの連ドラを無料で観られない事はないのかも知れませんが(違法配信で?)、こう言うドラマはタイムリーに見てこそが大切だから、そこまでして追い掛けようとは思わず、ネットであらすじの展開を追うだけで十分です。9月なので、トラつばもそろそろクライマックスですね。寂しいような、新しい連ドラも楽しみのような、毎年そんな秋の始まりの繰り返しも日本ならではだと思います。
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