2025/09/05

夏の終わりのマリン・スタイル

折角夏にぴったりなマリン柄の端布を何枚かチャリティショップで仕入れたのに、それらでドール服を未だ手掛けていない事に気付き、夏が終わってしまうと今になって焦りました。

そのマリン柄の布の中から、一番ドール服に使い辛そうなのに中途半端に多くあるビーチ・ハット(浜辺小屋)柄の布で、まず試しにスカートを縫ってみましたが、……思った通り()凄くヘンに仕上がりました。

そもそも疑いようがなく夏柄のはずなのに、酷暑で苦しむ日本人には全く思い付かない位暑苦しい! 緩和させようと裾にシンプルな青系のストライプ柄布を持って来たものの、この暑苦しい不快さには焼け石に水でした。

こんなにうるさい柄のスカートには、トップは絶対濃い色の無地じゃなくちゃと最初は思いました。が、どうせならとことん賑やかにしてしまおうと、結局紺地に錨柄のトップにしました。柄ON柄ですけど、スカートの柄の主張が強過ぎるので、一応メリハリは付くかなあと。

そして、このアウトフィットを着こなせるドールが、まるで見付かりませんでした。サイズは割とゆとり多めにしてあるので、2729㎝の大抵のドールは着用可能ですが、試着させてみても、自分で作って置いて情けない程似合うドールが本当にいなかった(苦笑)

この賑やかな柄に負けない位の個性の強いモデルが必要で、まるで灼熱の太陽のようなファッション・ブロガーのシンディちゃんになら、確かに肉眼では似合って見えました。しかし撮影してみると、髪のボリュームがあり過ぎてどう工夫しても纏まらずバランス悪く、アイプリはどの角度にしても反射し捲るし、おまけに可動式ボディなのに可動域の狭さや関節の緩さ等で非常にポーズを付け辛く、一度撮影して挫折しました。

このクセ強なファッションを着こなしてくれるモデル人形を更に探し続け、最終的にジェニーのお友達人形の、すっきりしたショートヘアにキリリとした顔立ちのハンサム・ウーマンな大徳寺貴更ちゃんに辿り着き、やーっと何とか納得出来ました。うちのは初代の貴更なので、最早ビンテージ・ドールの粋です。

イギリスの海水浴場では付き物の浜辺小屋も、実際にカラフルに塗装されている事が多いけれど、念の為実物はここまで暑苦しくは見えない物なんですよ。

一体どう言う意図でデザインしたら、こんなクドい使い辛い柄が商品化されたのか…。単に1/6ドール服にとっては使い辛いというだけでなく、例えこの布で人間用のバッグとかを縫っても可愛くはならんだろうとは思います。

トップは出来るだけ早く仕上げたかったので、一番簡単なパターンのフレンチ・スリーブのブラウスですが、丈は腹がチラ見えする位思い切り短くしたのだけが、せめてもの若々しさのつもりです。

錨型イヤリングは、元は自分の高校生時代のイヤリングだったような気がします。歳を取って最早使う事のなさそうなイヤリング(ピアス)は、どんどんバラしてパーツとして使うか、ドール用に払い下げしようと思います。

この貴更のボディは、可動式のSA(スーパー・アクション)に替えたままです。SAに合う肌色のヘッドのドールが、私の持っているジェニー・フレンドでは貴更とリエしか見当たらなかったからですが、この二人のフェイス・デザインが媚びてなくて、ジェニフレの中ではファッション性が高く好きだからと言うのもあります。

SAボディは バービーのMTM同様に脇は閉まらず、現在のオビツやピュアニーモと比べたら可動域に特筆する事はないものの、単にアウトフィットを見せる為のポージングになら十分ですし、何より関節の緩さ・硬さが丁度良く、かなり古い製品な割に結構優秀なのでは?と改めて思います。このボディ、色を改善して再販してくれないかな。

それに比べ、シンディ・プレイの可動式ボディは、買った当時は「シンディでフル可動式とは画期的!」と喜んでいましが、実際撮影してみると、首が傾かなくて顎は突き出たままだし、肘は45度位までしか曲がらないし、腰の関節は緩過ぎて非常に立たせ辛く、今となっては可動式の意味があるのか?とさえ思える扱いにくさです。

元々大人のドル活の撮影用に作られた訳でないから、子供が遊ぶのにはそれで充分って事なのかも知れません。しかし子供の玩具の割に、壊れ易く耐久性は大してないのです。

友達から貰ったミニチュアの夏らしいフルーツパンチ?も、今回やっと出番が来ました。組み立て式の白いテーブルは、Mattelと書いてあるから多分バービーの物で、確かに旅行先のチャリティショップで買いました。こんな何の変哲もないシンプルなドール用テーブルが、一番重宝するから前から欲しいと思っていたのです。 

暦的には夏は終わったとは言え、日本はまだまだ残暑が厳しい事と思います。ヨーロッパの多くの場所は今年も異常な熱波に見舞われましたが、イギリス南東部の今年の夏は昨年程は暑くなく、我が家ではエアコンを使う事が一日もなければ、扇風機が必要な日も数える程度しかありませんでした。しかし、そんなイギリスでも雨不足は深刻で、多くの貯水湖は水位が半分以下に減り、農作物は大きく打撃を受けていると聞きます。ところが八月の最後の週からは一変して雨ばかりの天候になり、突然夏が終わったのを実感しました。


 

 

 

2025/09/04

モーヴァン丘陵地帯の旅 レッドベリーの宿

 

夫婦で旅行に出る際、目的地は大抵私が提案しますが、宿はP太がネットで探して幾つか候補を挙げ、最終的に二人で選んでから予約します。宿の場所はこの辺りが便利と私が大雑把に希望し、時々は出来ればこの宿が良いと特定するものの、P太の会員登録している宿泊予約サイトの割引がかなり大きいからです。宿泊条件は、バカ高くなく評判が良いのは勿論、①朝食込み ②敷地内に専用駐車場がある、または無料で近くに駐車出来る ③徒歩圏内に夕食を取れる飲食店がある等と、大体いつも決まっています。 

今回は大聖堂都市Worcester ウースターとヘレフォードの中間当たりを希望しましたが、「Ledbury レッドベリーと言う町のこのホテルはどう?」とP太が提案して来ました。レッドベリーなんて聞いた事がありませんでしたが、ググって見ると、モーヴァン丘陵地帯の西側の、木組みの家が多い素敵な古い街並みで、何ココめっちゃ惹かれる!と一目惚れ。その町外れの二つ星ホテルの見た目も良くスコアも高く、其処に二泊する事に決定しました。

ホテルと言っても、家族経営のBB規模です。ホテルに指定されているのは、今までは希望すれば夕食も取れるレストラン機能があったからですが、パンデミックを機に止めてしまったそうです。

日本人が思い描くような典型的な品の良い英国婦人の女将さんが、出迎えてくれました。

スコアが最高得点に近いだけあり、部屋の清潔感も機能性も申し分ありませんでした。

部屋の調度も、華美過ぎずシンプル過ぎずヘンな個性もなく安定の心地良さ。 

宿の背後の丘は、葡萄畑になっています。

宿の手前には、今まで見た事がなくて珍しい農機具専門のオークション・ハウス。

朝食は、勿論注文を聞いてから調理するフル・イングリッシュ・ブレックファーストです。ちょっと前までは、イギリスで最も確実に美味しい料理と言われていました。

朝食室も、正に日本人が考えるイギリスらしさの品の良いインテリアでした。ウェッジウッド・ブルー(ジャスパーっぽいのでそう呼ばれる)の壁には、ブルーウィロウの絵皿が良く似合います。

イングリッシュ・ブレックファーストを待っている間、まずはセルフサービスで、シリアルやヨーグルト、果物、ジュースを選べます。私は、果物にグラノーラとヨーグルトを掛けました。

イングリッシュ・ブレックファーストの食パンは白か茶(全粒粉)から選べますが、我々は大抵茶色を選びます。このボンヌママンのオレンジ風味のチョコスプレッドが美味で、うちの近所でも買えるのかなと思いました。

イングリッシュ・ブレックファースト自体も、どれも良質な材料で丁寧に調理されて、量も丁度良く美味しく頂けました。P太は必ずベイクド・ビーンズ(白インゲンのトマト煮)無しで、あればブラック・プディングを付けます。 

イングリッシュ・ブレックファーストは、宿泊料金に含まれない宿の場合は別料金で一人1020ポンドはするので、多少宿泊料金自体が高めになっても、朝は余り食べられない人じゃない限り、朝食込みの宿を選んだ方が、便利さも含めて絶対に割安なはずです。植物繊維も多く栄養のバランスも割と摂れていますし(ただし脂質と塩分は高い)、我々の場合はこれを食べると昼食が必要なくなるので更にお得です。

評判通り、二泊とも文句の付け所がない程快適に過ごせました。一つだけ難を言うなら、街灯のほとんどなさそうな郊外に在るので、夕食を食べに町の中心に出て日没後に歩いて帰って来ると、歩行困難な程真っ暗になってしまうんじゃないかと言う事。我々は日の長い季節に訪れたので大丈夫でしたが、イギリスの田舎あるあるで、背の高い毒草が歩道に大きくはみ出しているのを避けるのには気を使いました。





2025/09/03

モーヴァン丘陵地帯の旅 モーヴァン丘陵からの眺め

 

昨年の夏に夫婦で大聖堂都市Worcester ウースターを訪れた後は、予約した宿を目指して西へ進みます。未だ明るいし、どうせなら景色の良い道路を通過しようと、Malvern Hills モーヴァン丘陵地帯を横断する事にしました。

モーヴァン丘陵の基地となるのは、東側のGreat Malvern グレート・モーヴァンと言う町。優雅な温泉(と言っても鉱泉)保養地として知られています。其処から急な坂道を登って行くと、すぐに見晴らしの良い場所へ出ました。

道路脇に駐車出来るスペースがあったので、車を止めて写真を撮りました。セヴァーン川沿いの平野の向こうに、コッツウォルズ丘陵地帯が見渡せます。

反対側のモーヴァン丘陵自体は、ちょこっとだけ頂上を眺める事が出来ます。海抜はせいぜい400m程度ですが、周囲が非常に低い故に突然盛り上がったように小高く見えます。丘自体が、湧水の多い場所と知られています。

ピンク色の目立つ花は、ウィロウハーブと呼ばれる雑草。その合間に、線路脇だろうと高速道路脇だろうと建物の壁だろうと逞しく生える、紫色のブッドーレアも咲いています。

因みに、モーヴァン丘陵地帯は「モルヴァン」とも「マルヴァン」とも「マーヴァン」とも日本語表記されます。私達夫婦はどちらかと言うと「マーヴァン」に近い発音で呼んでいますが、イングリッシュ・ローズ「モーヴァンヒル」の名前に従い、ここではモーヴァンに統一しました。 

坂道の途中に、こんな大きな一軒家がありました。毎日二階の窓から最高の眺めを拝める訳ですが、住むにはやはり不便な場所だと思います。街には遠いし、冬に坂道が凍結したら車でも移動出来なさそう。

モーヴァンは、ほぼ並行して走るA(国道クラス)449号とB(県道クラス)4232号に挟まれた、南北に長く東西には狭い丘陵地帯です。ここから丘の合間の峠道のような道路を通り、西側へ出ました。

 

 

 
 


2025/09/02

ポーリッシュ・ポッタリーのチーズ・レディ

 

今年の夏に、毎週日曜日に開催されるいつものフリーマーケットが、雨で欠行、会場の都合で決行(時々別イベントが開催される)、自分達の都合で行けないと続き、約一カ月行けない時がありました。久々に訪れたフリマは快晴で、出店者は満員になっていました。出店数が多いからって、必ずにも自分の買いたい物に多く出会える訳ではありませんが、その日私は沢山の収穫に恵まれました。

その時に最初に買ったのが、この陶器の人形です。すぐに、ポーランド東部ボレスワヴィエツ産の陶器だと分かりました。単なる女の子を模ったフュギュリンではなく、大きく膨らんだスカート部分がパカッと外れ、お皿にチーズを乗せ蓋を被せる仕組みです。本来チーズ・レディとは、牛乳を搾ったり運んだりチーズ造りに従事する女性の事ですが、このチーズ入れもチーズ・レディと呼ばれる事は前々から知っていました。

随分昔、友達と中欧旅行した時に、オーストリアの首都ヴィーンのデパートにポーランド陶器売り場があり、二人とも心を躍らせました。その中でも友達はチーズ・レディのでっかい版(高さ25㎝位)に魅了されましたが、凄く大きい嵩張る重い割れ物で、旅行中に買うのには全く不向き。さんざん迷ったものの、結局後ろ髪惹かれながら諦めました。

そんな様子を見ていたものだから、その後姉とイタリアのフィレンツェを旅行した際、ポーランド陶器屋が在り(店の人は地元産だと言っていたが…)チーズ・レディのちっちゃい版が売られていた時は、その友達へのお土産として買いました。今回私がフリマで買ったチーズ・レディは、多分それと同じ大きさです。その話を友達にしたら、今でも飾ってる~と言って早速写真を送ってくれました。形は同じなものの、柄デザインはかなり違うと改めて思いました。

実際には密封性もないのでチーズの保存には不向きだし、そもそも大した容量はないので、単なる卓上のアクセサリーのような食器です。しかし、ポーランド陶器の中でも特に可愛く、フォークロアな魅力が凝縮されたようなアイテムだと今でも思います。