2026/02/24

田園の館グレイズ・コート 1

冬期は閉まっていたNT(ナショナルトラスト)のお城やお屋敷の屋内公開が、三月に入り再開し始めたので、天気の良い週末を選んで早速出掛ける事にしました。昨年の春に我々夫婦が最初に選んだNTの目的地は、オックスフォード州のGreys Court グレイズ・コートと言うカントリー・ハウスでした。我が家から日帰りで行けない距離では全くありませんが、今まで訪れた事はありませんでした。

場所はHenley-on-Thamesの近くの、Chiltern Hills チルターン丘陵に横たわる風光明媚な田園地帯。

この日は快晴の上に、気温も早春にしては高かったと記憶しています。イギリスのあちこちの草地にほぼ自生するクロッカスの群生も見事に満開で、訪問者の目を引いていました。


これらの写真を見返しても、昨年のこの季節はお天気の良い日が比較的多く、今年より頻繁にお出掛け出来たと思い出されます。

建物の前には、石製の水槽に植えられたミニ・アイリス。こう言った水槽はtrough トラフと呼ばれ、アンティークをガーデニングに利用するのは非常に人気があり、新たにアンティーク風に作られた物も売られている程です。

お屋敷脇の石塀の上には、武装した幼児(ケルビム?)の像が並んでいます。勇ましく武装しても、全く戦力にならなさそう…。 

この場所は、元々ノルマン時代のガーター騎士だったグレイ家のマナー・ハウスで、11世紀の土地台帳「デュームズデイ・ブック」にも登場します。

14世紀には、現在の館(母屋)とは緑地を挟んだ反対側に、Rotherfield Greys Castleと呼ばれる城が築かれました。 

城の古風な塔と合体されたレンガ造りの建物は、17世紀初期に建てられた物でThe Dower Houseと呼ばれています。元々は現当主の母親(未亡人)が住んだ、言わば隠居用の離れだそうです。 

その後バラ戦争や宗教革命に翻弄され、この領地は幾つかの貴族の手に渡ります。現在の母屋は、16世紀にエリザベス一世の寵臣フランシス・ノリーズに寄って、当時流行の最先端のチューダー様式で建てられた物。 

庭園もここの見所ですが、まずはお屋敷内から見学します。正面玄関ホールでは、造り付けのキャビネットが印象的です。

今は勿論綺麗に快適そうに改装されていますが、市民戦争(ピューリタン革命)では破壊され、その後も持ち主に大事にされなかった為、廃墟同然に荒れて行った時代もあったそうです。

 「007シリーズ」の原作者、イアン・フレーミングの母親が一時住んでいた事もあったとか。

1937年にここを買い取った最後の持ち主は、スイス出身のThe Brunner ブラナー卿一家。右手の引き出しの上には、ブラナー家の歴代の当主の写真が飾られています。 

今でも十分人が生活出来るように感じられるのは、割と近年まで持ち主が実際に暮らしていたからです。

 

ここは1969年にNTに寄贈されましたが、ブラナー未亡人のみは2003年に99歳で亡くなるまで館の一部に住み続け、その後全てがNTに管理・運営されています。

家具や調度、食器類もそのまま寄付されたので(流石に非常に価値のある物は子孫が持ち出しただろうが)、館の雰囲気にぴったり馴染み、家庭的な暖かさがしっかり残って感じられるのはその為です。 

NTは映画やドラマの撮影には協力的なので(何せ宣伝になる)、このグレイズ・コートも「ダウントン・アビー」「名探偵ポワロ」「ミッドサマー殺人事件」等のロケに使用されました。 

こちらは育児室。他の部屋に比べてやけに細長く見えますが、天井が高く広さは贅沢な程十分あります。 
こちらは主寝室、いや子供部屋かな?

この部屋には、見事なドール・ハウスが飾られていました。ブラナー夫妻の子供達は4人とも男の子だったらしいので、これは夫人の娯楽だったのかも知れません。

サイズは一般的な1/12ではなく確か1/6で、思わず自分のドールを持って来て撮影したくなりました(笑)。 




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