長年夫婦でNT(ナショナルトラスト)に入会していますが、未だ日帰りで行けるNTの場所の全てを行き尽くした訳ではありません。小規模過ぎて開館日が限定されている、または要予約の場所等は、距離的にはそう遠くなくとも行き辛く、未だ訪れた事の無い場所が幾つかあります。
その外にも、何より豪華過ぎるお屋敷は、余程近いか庭が魅力的か、歴史的や建築的に興味を引かない限り、どうも行く気になれませんでした。日本に住んでいた頃は、そう言う豪華城館を訪れると、あたかもお嬢様気分を味わったりで楽しんだ物ですが、所詮庶民は庶民。しかも、背景にまるでそぐわないショボい東洋人の観光客と言う現実に、夢はすっかり冷めました。今では、「ここまで金持ってまっせ」をこれでもかと見せ付けられる、呆れかえる程の贅沢さには正直ウンザリするだけです。
しかし、パンデミック中に一時NTを退会していた時、会員に復帰したら、そう言う豪華絢爛なお屋敷も食わず嫌いせず、イギリスの一文化として一度は見ておかねばと思いました。
そこで昨年の夏にNTに再入会した時、バッキンガムシャーの「Cliveden クリーヴデン」を訪れる事にしました。実は、ここを訪れるのは初めてではありません。未だイギリスに住み始めたばかりの頃、確か自分の結婚式にやって来た両親をヒースロー空港に送った帰り、時間がたっぷり残っているので(日曜の午前中だった)、ついでに何処かに寄って行こうと周辺を車でうろついてた矢先、目に入ったのがこのクリーヴデンの道案内の看板だったのです。
そして本当は、一時帰国からイギリスに戻って来て、NTのモンクス・ハウスの次位に真っ先に行く予定でした。しかし一度試みたものの、ロンドンの外環状線的な高速25号線がIC工事の為、酷い渋滞で余りに時間を喰ったので、その日は諦めて急遽行先を同じNTのハッチランズ・パークに変更した経緯があります。
そこまでして行こうと思ったのは、前回ここを訪れた時は未だ寒い三月で、庭園の全く見応えのない季節なだけに、お屋敷だけがやたら豪華で、入場料が馬鹿高い(※未だNT会員ではなかった)割につまらなかったと言う印象が強かったからです。
しかし、実はテームズ河畔の高台の風光明媚な立地に在る事を知り、花々の美しい季節であれば印象がガラリと変わるであろうと期待した、今回は言わばリベンジ訪問でした。
元貴族の邸宅の敷地はとんでもなく広大で、指定の一般駐車場からもかなり歩きます。途中の噴水でさえ、この豪華さ。その名も「Fountain of Love 愛の泉」と言います。
クピドー(キューピッド)とプシケーの彫像で装飾されているからのようです。
更に、噴水から南へ向かって幅広いプロムナードをしばらく歩くと、館が見えて来ました。
館は現在豪華ホテルになっており、ここに駐車されている車は宿泊者の物。三月から十月の週に三日のみの要予約のガイドツアーで、宿泊客じゃなくとも内部見学は出来るそうです。しかし私達は予約しておらず、今回は兎に角広大な敷地内を歩き回る事が目的です。
最近改装されたばかりなのか、時計台すらやたらギラギラしています。
館の北側の緑地には、古代ローマ時代風の彫刻の付いた、四角柱のような石像が横たわって並べられています。
もしかして古代ローマの石棺のプランターへの再利用??(良くやるんだよ…)かと思いましたが、単にそれ風に新しく(と言っても多分18~19世紀)に作られたオブジェのようです。
この館の塀沿いに、見事なペレ二アル・ボーダー、すなわち宿根草花壇が設けられていました。
これは確かに前回の寒い季節には見られなかった物で、好みの素晴らしい花壇です。
この西側は、青系の花で纏められています。
一方東側の壁沿いの花壇は、黄色~オレンジ系の花で纏められています。
もしこの花壇を前回も見ていたなら、ここの印象もそう悪くはなかったと思います。
もし日本庭園であれば、冬だろうと雨だろうとそれなりに魅力的に見えますが、西洋の庭園やお屋敷は、基本的に夏季の快晴の日に映えるように作られていると常々思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿