2025/07/03

菫柄のシルク・カード

 

好きで何枚か集めている、第一次世界大戦時にフランス駐屯のイギリス人兵(カナダやアメリカ兵も含まれたらしい)が故郷の家族や恋人、友人宛に送る為に、フランスやベルギーで制作された、極薄の絹のガーゼ地に艶やかな絹糸で刺繍された絵柄の絵葉書、通称シルク・カードを、山小屋風チャリティショップで50ペンスで手に入れました。

シルク・カードのコレクターは多く、もし珍しい柄なら一枚10ポンド以上もする位なのに、たった50ペンスとはどう言う事?…かと言うと、実は売られていたのは台紙から剝ぎ取られた刺繍の布地だけだったからです。

しかも当然シワクチャで、まるでゴミにしか見えない状態で売られていました。そんな物を売る方も売る方なら、寄付した人も良く寄付したもんだと思います。そして、それを買う客も相当ヘン。恐らく何か他の寄附品に混じっていただけで、お店側も売っている事にすら気付かなかったのであろうとは想像します。実は百年以上前の刺繍で、歴史的にも結構興味深い物だと気付く人は、まずほとんど居ないはずです。

しかし自分なら、家に持って帰ってから皺を伸ばして台紙を付ければ、十分蘇るんじゃねーかと思いました。そこで、刺繍地が映えるよう色付きの台紙に挟んでみたり、縁をマステで装飾してみようと考えましたが、どうも刺繍に合わずピンと来ません。

元のシルク・カードは、生成り色(多分純白だったのが経年で茶けた)地の台紙に挟まれ、縁には大抵細かいエンボス模様が施されています。そこで自分も生成りの窓付きカードに挟み、エンボスの代わりに同色のレースを貼ってみたら、結局オリジナルに近いので一番しっくり見えました。 

元は葉書仕様ですが、私は二つ折りのグリーティング・カード仕様にしました。

図案は教会らしき建物を含む農村の風景と紫の菫の花で、文字は「Bonne Annee 新年」、つまり年賀状です(…全く季節に合わない記事w)。もしかしたら風景は雪が積もっている様子なのかも知れないけれど、特に冬らしさは感じられず、日本の年賀状とは随分雰囲気が違います。もっとも干支もない事ですし、Xmas抜きで考えると、キリスト教国の典型的な年賀状のモチーフって何なんでしょうね?? そもそも現代の欧米では、年賀状はクリスマス・カードに一言「& Happy New Year!」と一言添えるだけで、一緒くたにする事がほとんどなのに、昔は結構年賀状を単独で送る習慣のあったのが意外でした。




2025/07/02

アイリス・ガラスのネックレス

 

フリマで、アイリス・ガラスのネックレスを1ポンドで買いました。石が並んでいるのは首の正面に来る中央部分だけで、大部分がチェーンのみなので、ペンダントと呼ぶ方が相応しいかも知れません。

 一つだけ直径1㎝程のラインストーンで、他は全て直径約5㎜です。特有の虹色の筋は淡目なので、アイリス・ガラスとしては比較的古い時代(192030年代)の製品に見えますが、その割には石は爪留めではなく接着式で簡易な造りなのが不思議です。しかし、石の欠けは無く状態は良好なので問題ありません。


ところで、アイリス・ガラスの独特な色合いが好きで、安くて状態の良いアクセサリーを見付けると買っていますが、実際に身に着けた事は実はほとんどありません。姉はマルチカラーのアクセサリーは好きじゃないから、姉に送る事もありません。私自身が柄物や色味の割と強い服装を好む為、アイリス・ガラスは生憎それには映えず、正直使いにくいのだと思います。

しかし、アイリス・ガラスの氷菓のような爽やかな透明感は夏に特にピッタリなはずなので、今年は白いトップなんかに合わせて実用してみたいと思います。

 

 

 


2025/07/01

緑地のニードルポイントのビンテージ・バッグ

 

その日のフリマは、行きの移動中に車の中で、何故か腹が痛み出して来ました。出掛ける前は全く予兆はなく平気だったのに、その内どんどん本格的に痛くなり、こりゃヤバいなあと焦りました。フリマ会場に仮設トイレはありますが(利用した事はない)、清潔さと快適さは全く期待出来ません。そもそも、そんな具合の悪い状態では、広い会場を歩き廻って収穫を物色するのさえままなりません。そんな時は、…気合で治すしかない!と念を込めたら、本当にフリマに到着した時までには腹痛は止み、全く正常の体調で会場を見て廻る事が出来ました。こんな風に都合良く気合が効く事もあるでしょうし、まあ駄目な時はダメなんだろうな。 

そんな忘れ難い日のフリマで出会ったのが、このニードルポイント刺繍のビンテージのパーティー・バッグです。値段は3ポンドと言われたのを、2ポンドに値切りました。ビンテージ・バッグは結構フリマで見掛けますが、ビーズ刺繍の方が多く、状態の良いニードルポイントは稀で、特にこんな可愛いデザインのニードルポイントのバッグは珍しいと思いました。

メインカラーがエメラルド・グリーンと言うのも珍しく、丸に近い花模様とスカラップ縁の円形の囲みが、幼い可愛いイメージを与えています。刺繍は前面のみで、背面はエメラルド・グリーン一色。内側は、ベージュのシルク地が裏張りされています。 

幅は約13㎝で、パーティー・バッグとしても相当小さいアクセサリー・バッグです。製造年代は、1930年代頃だと思います。もっと後の時代だと、返って現代人にとっては実用的なサイズのバッグが多くなります。もしかしたら市販品ではなく、昔の誰かのお手製かも知れません。 

細かい型押し模様の付いた凝った意匠の口金が、古い製品ならではの優雅さを伝えています。

本体の状態は良いものの、持ち手のチェーンは錆々なのが難点です。このチェーンは新品に交換する事も可能ですが、財布やスマホすら入らない小ささのバッグなので、実用する日が来るとは思えず、コレクション用にはこのオリジナルのままの状態でイイやと思っています。