五月の野辺

 

バービー人形に似合うアウトフィットで、ケバくない下品でない馬鹿っぽくない、尚且つフェミニンでナチュラルな服装なんて、一体あるんだろうか？と結構ずっと考えていました。そんなある日、街のチャリティショップで売られていた中古手芸本で、こんな服装ならバービーにも合うかも!と思える作品を見掛け、作るヒントにしました。

毎度ながら思い描いた通りの形には仕上がりませんでしたが(汗)、フォルムは割とコンパクトでスカートはミニ丈で、大人っぽさと女性らしさ、多少の色っぽさはあり、色味や柄は明る目だけれど落ち着いてナチュラルと言った感じの服装を目指しました。

モデルは、以前リペイント＆カスタムしたMTMボディの多分車椅子のバービーさん。クローズマウスのお陰で、自分としては最もケバくないブロンド・バービーに仕上げたつもりでしたが、前回作って上げたナチュラル・カントリーなドレスは、生憎似合っていなくて不満足でした。

発想を得た手芸本は人間用の衣服の編み物の本で、元々トップのカシュクール風のカーディガンはニットでしたが、私に編み物が出来る訳もなく、少し質感に風合いのある布帛布で再現しています。

胸元が開き過ぎてしまい、重ね着して見えるよう急遽レースを胸開きに縫い付けましたが、 やはり未だ危ない💦

スカートは本当はミニ・タイトにするつもりでしたが、想定していたよりかなり大きく仕上がってしまい。……まあもし実際にタイトだったら、歩幅が限られて歩き辛いもんね。

緑色のウェリーズ(ゴム長靴)を履かせて、ワッチニット帽を被せて、その手芸本の作品例のグラビア通りに、イギリスのエレガントなアウトドア・スタイルをイメージしてスタイリングしました。

念の為、イギリス人女性が皆こんな格好でアウトドアを楽しんでいる訳ではありません。フィールド・ジャケット(言わばマウンパ)＋ニッカボッカ＋トレッキング・シューズで、いかにもな格好をバッチリ決めている人も多く見掛けます。機能性・安全性を考えると、やはりそれが一番だとは思います。

その一方で比較的若い世代では、少しでも暖かい季節になるとキャミ＋短パン＋フリップ・フロップ(草履ッパ)と言う、裸同然の舐めた格好で野山を歩く人も多く見掛けます。

草が深い場所はダニが多く生息しており、またネトル(西洋イラクサ)やブラックベリー、毒ニンジンと言った触ると危険な植物も非常に多いイギリスなので、少なくとも野山で生足は避けるべきです。

野歩きにウェリーズを履くのは、イギリスならではの習慣だと思います。兎に角雨の多いイギリスでは、遊歩道が半端なくぬかっている事が多いからです。

特に冬はイギリスの雨季なので、地面が常にドロドロで乾く間もありません。ただし大抵のウェリーズには防寒性はない為、冬に着用して散歩に出る際は、「ウェリーズ・ソックス」と言う厚手ハイソックスを下に履きます。

そう言う訳で、特にこんな緑色のウェリーズは、イギリスのアウトドアのシンボルですが、逆に雨の日に街でウェリーズを履く習慣はないそうです。じゃあ一体、酷い雨の日には何のフットウェアを履けって言うんでしょうね？

久々にドールの屋外撮影をしましたが、この季節は日差しが強くてコントラストが強過ぎたり、曇ると暗過ぎたり、風で髪はすぐに乱れるし、やたら種とか葉とか枝が髪に絡むしで、やはり面倒だと思いました。 

この手に持たせたセラスティウムなんて、実はアブラムシが結構付いていたのに、最初の内は知らずに撮影しちゃったし💦

この季節の紫外線の強さも怖いので、屋外撮影をするのなら、やはり私は中古人形しかモデルに使えません。

ところで、花で溢れたロマンティックな庭園を訪れるのには、出来れば登山のようにガチガチのアウトドア・スタイルではなく、少しはドレッシーな服装を楽しみたいと思う事もあります。

しかしイギリスのNT(ナショナルトラスト)等の庭園は、大抵敷地が広く、または遊歩道の完備された広大な野や森林に囲まれていたりします。庭園を訪れると、その後ほぼ一日中周囲の野山を歩き回る事になったりします。その点こんな格好なら、庭園巡りにも長時間の野歩きにも適しているのではと思います。