その日のいつものフリーマーケットは、買いたいと思える物に中々出会えなくて、一通り見渡した後に最終的に、前の週も出店していたストールの再出店で、前回買っても良いかもと思っていた物を買いました。その一つが、このビンテージのファッション・ドールです。
1980~90年代位のバービー人形の類似品を思わせるデザインですが、実はバービー達29㎝ドールより顕著に小さい、身長約19㎝の小さなドールなのです。前の週には、多分同じシリーズの人形が2,3体、他の最近の中古人形と一緒に段ボール箱に詰められて売られていましたが、買った時にはこれ一体のみ残っていました。
スケール的には、デイジー人形(1/6)とピッパ人形(1/12)の中間位で、1/8辺りのサイズに近いかも知れません。しかし90年代製造と言う中途半端な古さな為、デイジーやピッパのようなレトロな魅力はありません。老け顔の割に頭はデカく、腕が短くて幼く見えるボディとのバランスが悪く、金髪バービー同様の汚い地黒肌で正直可愛くありません。初めて見る古い人形で珍しいとは思ったものの、その可愛くなさが前の週に買うのを見送った理由です。
兎に角眼の位置が顔の上過ぎて老けて見えるし、瞳のデザインも三白眼気味です。顔は英プディグリー社から米ハスブロ社へ移ったばかりのニューフェイスのシンディを真似て、更にミニチュア化したような雰囲気にも見えますが、シンディの方がずっとマシなデザインです。前髪付きでクローズ・マウスであろうと、可愛くない人形は可愛くないんだな…と妙に納得しました。
髪が余りにもぐじゃぐじゃ過ぎて顔が良く見えないので、↑リンスして(※静電気を抑える為)整えてみました。元のフェイス・プリントを落とすと、アイホール等の顔パーツの型押しの位置からして、どうリぺイントしようとも自分の好みには仕上がらないだろうと確信しました。そもそも、バービーより遥かに小さいこの瞳を、果たしてリぺ出来るか自信はありませんでした。
しかし、顔を落としてしまったからにはリぺするしかなく、世の多くの女性達が何が何でも瞳を大きく見せるメイクに必死なように、瞳は型押しを無視して強引に出来るだけ大きく描きました。
髪質は古さの割には綺麗な状態で残っていますが、すぐにボサボサに広がってしまいます。ヘッド大きさに対して髪が大量過ぎて盛り上がって見えるものの、植毛密度は疎らで、掻き分けると簡単にハゲが見えます。
背中に「HORNBY ©1991」との刻印があり、ググってみると、有名なC.M.バーカーのイラスト「フラワー・フェアリー」を、ファッション・ドール化して販売していたのと同じイギリスの玩具メーカー製の、「Cassy キャシー」と言う人形だと分かりました。そう言えばあのフラワー・フェアリーの人形も、「原画へのリスペクトまるでないだろ」と思える程、全く絵に似ていない上に、ドールとしても可愛くなかった…。因みにHORNBYは、元々は鉄道模型で知られた有名な玩具メーカーです。
唯一このオリジナルと思われるアウトフィットだけは、やけに可愛いと思いました。白地のコットンに刺繍の入ったサマードレスで、こんな素直に少女らしくて清楚な服は、欧米のドールのアウトフィットとしては非常に稀です。刺繍は勿論機械刺繍ですが、裏に接着心が付いて補強されています。
この服の背面の留め具が面ファスナーなので、それ程古くない人形であろうとは検討が付きました。しかし、90年代の西洋のファッション・ドールのアウトフィットのデザインの酷さを考えれば、この服の可愛さはほぼ奇跡的です。肩紐が経年で伸びてしまったのか、少し油断すると身頃が下がり過ぎて胸が見えてしまうのが玉に傷。
フットウェアとしては、多分バービーのビンテージの透明ウェッジソール・サボを履かせています。どう考えても大き過ぎますが、ブルータックで固定して立たせています。この小ささでも一応ヒール足なので、他の小さなお人形の子供仕様のぺたんこ靴は合わないのです。 しかし、今まで出番のほとんどなかったこのサボのキッチュさと透け感が、結構この人形と格好には合うような気がします。
また、この小ささの割には可動域が意外とあり、腕の付け根は前後に動くだけでなく、球体関節式で開き、首も傾きます。膝は元々クリック式で曲がる仕様になっていますが、向かって右は壊れていて曲がりません。
キャシーには家や家具、馬屋(西洋の人形には必ずある!)も存在し、ファッション・ドールとして本格的に展開していたようです。しかしフラワー・フェアリー人形以上に見掛けた事のない稀さを考えると、商業的に成功したとは言い難いようです。
その体の小ささから服を作るのも面倒臭く、結局リぺしても可愛くない事から、今後再びモデルとして出番があるとは思えませんが、何事もチャレンジで勉強にはなりました。しかし、毎度ドール撮影の背景でお馴染みのカレンダーには十分な面積がなく、他のファッション・ドールでは部分的にしか使えないのに対し、小さいサイズの為に全身を入れても大丈夫と言う利点はあります。
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