しかし、その少し前の「青紫の花の季節」も、イギリスならではの魅力に溢れています。青紫の花とは、森の地面を絨毯のように覆い尽くす野生のブルーベル、レンガや石造りの建物の外壁に這う藤やクレマティス・モンタナ、そしてライラックの事で、偶然色味の近い花々を沢山見掛けます。その中でもイギリスならではの初夏の訪れを告げる花ブルーベルを、ドール服で表現してみようと思いました。
…と考えていたら、グズグズしているうちにブルーベルの季節が終わっちゃった💦 縫っている間に、突然旅行に出たりしたもんですから。切り花に使ったのは、北向きの前庭で最後に咲いていたイングリッシュ・ブルーベル。それすら終わり間近で、未だ萎んでいない花は少しか残っていませんでした。
ブルーベルには「イングリッシュ」と「スパニッシュ」の二種類があって、色が濃くて花房の項垂れるのが在来種のイングリッシュ・ブルーベルです。外来種でイギリスにとっては園芸種であるスパニッシュの方が、若干開花が早いのかも知れません。
「ブルー」ベルと呼べど、実際には限りなく紫に近い青色で、写真(特にスマホ)では更に紫にしか見えない色に写りました。生憎その色に相応しい柄布は見付からず、辛うじて一番近いのはこの二種類の布だと思いました。
1970年代の人形用(しかし1/6ドール用ではない)アウトフィットの型紙を参考に、マキシ丈のベル・スリープのワンピースにしています。ブルーベルなので、一応袖はベル・スリーブに。
ほぼヴィクトリア時代の農婦のコスプレとも言える格好で、エプロンを付ければ正にカントリー・ドレスです。
これでは、つい頭にはボンネットかバブシュカも欲しくなります。
もし今時の日本のお出掛けコーデであれば、白い厚底ハイテク・スニーカーを合わせる所かも知れません。
かく言う私も、厚底スニーカーの快適さが気に入って、今は厚底ばかり買っています。地面から来る衝撃や温度が緩和されますし、多少の濡れた道も平気で、更に視界がちょっとだけ高い(笑)。
スコットランド民謡に「スコットランドの釣鐘草」と言う美しい曲があり、子供の頃は多分ジキタリスやカンパニュラのような花なのだと勝手に想像していました。しかしイギリスに住み始めてから、このヒヤシンスやシラーの仲間のブルーベルの事なのだと初めて気付きました。
元々私はイギリスに興味が無く疎かったと言うのもありますが、このブルーベル及び青紫の花の季節の美しさは、日本では余り知られていないように思います。そもそも、この時期に訪英出来る日本人は限られているはずです。
日本の桜同様に開花時期は短く、また開花時期を予想する事は難しいブルーベルなので、早くに旅行の予約をしなければならない海外観光客は、中々この機会に上手く巡り合えないとは思います。しかしここ数年は、イギリスの春が異常な低温に見舞われる事も少なく、ブルーベルの花期は大体日本のGW時期と被る事が多いようです。
ところで我が家のライラックは赤味が強く、開花すると藤色と言うよりほぼピンクに見えます。
そのライラックもモッコウバラも既に終盤近く、代わって普通のバラがばんばん咲き始めています。数年前までイギリス南東部のバラの開花は5月末から6月上旬で、東京よりずっと遅いと認識していましたが、年々早まって来ているようで、今年は4月末から咲き始めました。
何はともあれ、帰国していた為に二年続けて見る事が出来なかったイギリスのブルーベルの絨毯を、今年は存分に楽しむ事が出来ました。
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