昨年の夏に夫婦で訪れたNT(ナショナルトラスト)のCliveden クリーヴデンで、テームズ川の流れる谷底の遊歩道をしばし歩きました。この遊歩道は敷地内を下流まで延々と続いているようですが、我々は途中で谷を登って高台に戻る事にしました。
高台には森林が広がっていて、遊歩道が完備されています。ここの敷地は152ヘクタールあり、南北には4~5㎞あるようです。
所々木々の合間に見晴らしの良い場所があり、先程歩いたテームズ川を遥か下方に見下ろす事が出来ます。
また、対岸の田園地帯も遠くまで見渡せます。ここはバッキンガムシャーとバークシャーの州境で、風光明媚なChiltern Hills チルターン丘陵地帯の中に在ります。
可憐な野の花が咲いているのを見る事も出来ます。これはマスク・マロウのようです。
歩いている内に、「Duke’s Sheat 」と言う場所に到着。
19世紀にここの所有者だった、二代目サザーランド公爵ジョージの像が立っています。屋敷を眺めるのに最適なこの場所は、公爵にとってお気に入りの場所だったのかも知れません。
この時代の特権階級は、これ程金を湯水のように自分の贅沢の為に費やして、良くお隣フランスのように革命が起きなかったもんだと素朴に疑問に思いますが、イギリスでは一早く産業革命が起こった為に職は急増し、庶民でも懸命に働けば飢える事はなかったからのようです。
カフェで休憩する為に、沢川の流れる谷間を超えて、再び館近くに戻りました。
この日は暑かったので、カップ入りアイスクリームを食べる為だったのですが、生憎売り切れで子供向けのジャンク・アイスしか残っておらず。イギリスで唯一の安全圏(外れが無いと言う意味で)のお茶菓子スコーンも品切れで、やむを得ずケーキを食べる事にしました。
このケーキが…、どれも見た目がイマイチな物しかなく、とりあえず最も極甘じゃなさそうなチェリーのケーキを選びました。
そして見た目通り、美味しくなかった! 辛うじて食べられない事はないのですが(※イギリスには食用不可能な食べ物も多い)、スポンジはべっちょりしているのに硬く味気なくコクもなく、しかもセルフ・サービスで盛り付けも素っ気無く、これで値段は800円近くもすると言うのが日本では信じ難いクウォリティです。
百歩譲って、P太の選んだルバーブの炭酸飲料は、他では見た事がなく珍しいし美味しかったそうです。と言っても、NTのオリジナル商品でも地元商品でもないし。
そもそも、クリーヴデンの前回の印象が悪かった理由の一つに、このカフェで食べたアップル・パイが不味かったと言う忘れ難い思い出があります。しかも、イギリスでは珍しい事に極甘だからではなく、リンゴが硬くてパサ付いて十分甘くなかったと言う稀有な体験です。アップル・パイで不味い事自体が、他で聞いた事がありません。
しかしそれは20年近くも昔の事だし、流石に改善されているだろうと興味があったからこそ再びここで注文したのですが…、10年以上経っても驚きの底辺の品質維持です。
ここだけじゃなくNTのカフェやティールームは、このように食べ物やサービスの質の悪い場合が結構あります。企業じゃないから企業努力しないのだと思いますが、他のイギリスの飲食店と比べても価格は特に安くはないんだし、折角の素敵な場所でもこれでは思い出が台無しです。今後はNTではやはり、いつものカップ入りアイスかクリーム・ティーしか食べちゃ駄目だと心に近いました。
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