2025/06/22

秩父市内でレトロ建築散歩

 



旅行の目的地は、何か観光の目玉があり訪れてみたいスポットがあるから選ぶ訳ですが、その他にも例えそれが主な目的ではなくとも、街並み自体が歴史的だったり、美しい面白い建築物が多かったり、雰囲気が良くて歩くのに楽しい場所なのに越した事はありません。その点秩父市は、古い建築物が多く残ると聞き十分期待出来ました。 

その多くは、秩父神社の表参道である番場通りで見る事が出来ます。そう言う街並みが素敵で歩くのが楽しいのは、古い建物が単にボロいままで打ち捨てられている訳ではなく、大切に手入れされ今も人が住み続けている、または保存されているか、もしくは商店や飲食店等に利用されて生き生きしている事が重要です。

まず目の留まったのが、門柱も立派な旧片山医院。私の田舎でも、病院や医院と言うと、こんな洋館風の建物が幾つかありました。

パリー食堂周辺には、特に魅力的な建築物が集中しています。秩父名物「豚の味噌漬け」で有名な隣の肉屋さんは、関東大震災以降に日本の中小規模商店に多用された看板建築様式。

その斜め向かいの小池煙草店は、窓のデザインが凝った素敵な建物で、今はお洒落なカフェになっています。

小路を挟んだ肉屋の隣のアール・デコ風の建物はバーになっていますが、元は旅館の別館だったそうです。

装飾が凝った木戸門のある和風建築は、その旅館の本館で、今は居心地良さそうな飲食店になっています。

こんな70年代的な造りのパーラーも、今となっては貴重で味があります。 

一階は大抵綺麗に現代的に改装された店舗になっているし、またこの通りの幅は広くない為、一歩引いて見ないと古い看板建築とは気付けない時もあります。

旧岩田医院は、今も隣の近代的な建物で開業中。

神社が近付いて来たし門に注連縄が掛かっているし、ここは禰宜様のお宅?と思いましたが、国の文化財に指定されている薗田家住宅だそうです。この辺りの古い建物は、国の文化財になっている物が多いようです。

その向かいの宮前家住宅は、門は純和風なのに家屋はスイスのシャレー風。

日本の祭礼博物館になっている大きな土蔵は、元は秩父夜祭で使用される屋台(山車)の車庫と思われます。屋台の倉庫は、街のあちこちに在るようです。

その隣の小さな公園の、スケボーを利用したベンチが何気に可愛い。

本町通りから見える横道にも魅力的な古い建物が在り、この街の全ての道を通ってみたくなります。

看板建築、やはり多し。実は私が生まれ育った家も、昭和30年代に建てられた看板建築っぽい造りでした。祖母が商店を続ける予定だったのでそんな造りにしたそうですが、その祖母は建築中に交通事故で亡くなりました。

江戸東京たてもの園の写真館を思い出すけど、こちらは現役なのが一層素敵。

秩父の街の所々に、道標、または巡礼所の案内として、こんなオブジェが立っています。

秩父市歴史文化伝承館近くに、いきなり大きな欅の木が立つ小さな祠が祭られている塚があり、「山の神の木」として大切にされているようです。街の合間合間に素朴な信仰が感じられるのも、秩父の魅力かも知れません。

そして秩父と言えば、秩父三部作と呼ばれるアニメ作品の聖地でもあります。特に「あの花」こと「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(…コピペした)」は今尚人気が高いようで、マンホールの蓋もこの通り。

この日は薄曇りの蒸し暑い日でしたが、夕方に近付くにつれ快晴に変わり、到着時には山頂が雲に隠れていた秩父のシンボル武甲山も、最終的には全体の姿がはっきりと見えました。






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