2025/09/10

モーヴァン丘陵地帯の旅 レッドベリー最古のパブで夕食

昨年の夏の夫婦で宿泊した古い市場町Ledbury レッドベリーの一泊目は、結局ホテルから一番近いパブではなく、この町最古と呼ばれる中心部のパブで夕食を取る事にしました。

The Seven Star」と言う16世紀後期築のイン(旅籠)で、今でも宿泊も出来る四つ星ホテルになっています。

店の中は、期待通り雰囲気ばっちり。

古い梁等の木材をそのまま生かしながら綺麗に改装され、清潔な快適さや機能性と上手く調和しています。

目抜き通りに面した手前はバー部分で、地元民で賑わっていました。 

奥のレストラン側には、完全にモダンに見える部分も。

パブには、大抵屋外席が設けられています。イギリスでは20年位前から公共の屋内は全面禁煙に指定されている為、煙草を吸いながら飲食したい客は屋外の席に座るしかありません。真冬でもコートを着込みながら寒そうにビールを飲んでいる喫煙者を見ると、それでも煙草を止められんのか…と悲しくなります。

飲み物は、二人とも地元エールを注文しました。どちらも美味しかったと記憶しています。徒歩だから、P太もアルコールが飲めます。

 前菜は飛ばし、私はメインにベジタリアン・ハンバーグを選びました。

ハンバーグとは呼びますが、どちらかと言うと衣が付いて揚げてあるからコロッケですね。付け合わせは「ずんだ」…ではなく、グリンピースのマッシュです。イギリスではお馴染みですが、P太は嫌いだそうです。

そして、チップスはサツマイモなのも嬉しい。

ハンバーグの中の野菜はビーツ中心で、甘くコクがあります。普通ベジタリアン・ハンバーグは、ニンニクやチーズが多用されていて結構「重い」のですが、これは揚げ物なのに軽め、でも味わいは深く充実感は高いから気に入りました。

サラダも野菜が地元産らしく、新鮮で明らかに味が濃い。

一方P太は、「本日のショートクラスト・パイ」を選択。ショートクラストは、甘くないタルト生地に似たパイ皮です。ロースト・ベジタブルとクリーミィなマッシュポテト、そして濃厚なグレーヴィー・ソースが付きます。

パイの中身はチキンと西洋ホロネギ等の野菜で、こちらもグレーヴィーと共に文句無しに美味しい組み合わせだったそうです。

デザートは注文しました。地元産ストロベリーのパンナコッタで、これは思い出すと悶絶級の美味しさ。

付属しているショートブレッド(バタークッキー)も、また美味。イギリスでは珍しく、外れのないお菓子です。

結局、味、サービス、雰囲気も全て揃って理想的な夕食になりました。やはり良い旅の思い出に、美味しい食べ物は重要です。ここの大満足の夕食のお陰で、レッドベリーの印象が益々良くなりました。




2025/09/09

アバロン・シェルの蜻蛉のブローチ

夏頃のフリマで、姉の好きな蜻蛉モチーフのブローチを見掛けたので買いました。ビンテージと呼ぶ程は古くない、何処かのお土産ではないかと思いましたが、ネットで検索すると同じ物がビンテージと出ていました。

幅は5㎝強。リアル過ぎない、またデフォルメし過ぎて子供っぽくもない、丁度良い具合にすっきり簡潔な造形です。蜻蛉を模したブローチはヨーロッパではそう珍しくはありませんが、本物のアール・ヌーヴォー時代の値段も半端なく高い高級な物か、現代の安っぽい造りの物かどちらかなので、その点このブローチには古くない物にしては安っぽくない適度な重厚感はあります。

翅部分は金属製の土台の上に、アバロン・シェルと言う天然の貝が貼り付けてあり、その上を透明樹脂でコーティングしてあります。その為、二つとして同じ模様は出ないようです。

向かって右の上翅の樹脂に傷があるのが残念ですが、貝を守る為のコーティングだから仕方ないとは思います。

アバロン・シェルは玉虫色に輝く内側を持つアワビ貝の一種で、パウア貝とか孔雀貝とも呼ばれています。世界中の何処でも採れるらしいのですが、ニュージーランドが主な産地で、マオリ族では昔から大切にされて来たそう。このブローチも、もしかしたらニュージーランドのお土産かも知れません。

 

 

 




2025/09/08

モーヴァン丘陵地帯の旅 古い市場町レッドベリー 2

 

昨年の夏の夫婦のモーヴァン丘陵地帯の旅行で宿泊した、古い街並みが魅力的な市場町Ledbury レッドベリーで、特に雰囲気抜群に見えたのが、マーケット・ホールの脇から教区教会へ続くChurch Laneと言う小路でした。

昔ながらの石畳が残り、車進入禁止の歩行者天国になっています。

こちらは16世紀築のButcher Row Houseと言う建物で、今は博物館として一般公開されています。古い楽器や、巨大なブーツ型の湯舟が展示されているようです。ブーツのお風呂に入るなんて、…マザーグースの靴に住む老婆を思い出しますね。

通って来た小路を振り返ると、こんな感じ。右の建物は旧グラマー・スクールと呼ばれ、今はヘリテイジ・センターと言う博物館になっています。 

こちらは博物館でもなく一般人が住んでいる民家だけど、大きくて一際迫力。 

教会に到着しました。中には入れませんでしたが、変わった建物で凄く興味を引きました。

まるで、普通の教会を四つ並べて繋げたような西側ファサードです。この教会にはチャプター・ハウスさえあり、もしかしたら元は修道院の付属教会だったのでは?と思いましたが、修道院だった記録はないそうです。

中央の入り口が典型的なノルマン様式のギザギザ・アーチ(Norman zigzag)で、確かに12世紀築の建築物なのが分かります。扉の鉄細工模様も、凝っていて素敵です。

そもそも、尖塔は別個に建てられているのも独特です。これは遅れて13世紀に建てられた塔で、多分隣国ウェールズから侵略を恐れ、籠城用の砦として(多分見張り台としても)築かれたらしいと考えられています。ウェールズと国境を接するここヘレフォードシャー州では、こんな独立した教会の塔が七つ現存するそうです。 

この教会の前で、人懐こい猫ちゃんに遭遇。ヨソの猫を見る度にP太は「小さいなあ」と言いますが、それはうちのデッカイ猫ちゃんに見慣れてしまっただけでして…。


教会からは、Church Laneと並行するChurch Roadを通って目抜き通りに戻ります。こちらの通りも雰囲気抜群。

この角の家は、通りのカーブに沿って建物自体が湾曲しています。

やはり16世紀築の一般公開されいる家で、Painted Roomと言う古い文様の描かれた壁画の残る部屋があるそうです。イギリスの古民家の壁画なんて今まで見た事がなく、凄く興味をそそります。

イギリスに住んでいて今まで知らなかったのが恥ずかしい位、非常に魅力的な町でした。日没前の数時間歩いただけですが、もっと長く滞在して博物館等を見学したかった程です。ロンドンからは相当離れていますが(一応鉄道は通っています)、イギリスの田舎好きな人には是非お勧めの町です。


 

 

 

 

2025/09/07

モーヴァン丘陵地帯の旅 古い市場町レッドベリー 1

昨年の夏の夫婦のモーヴァン丘陵地帯の旅行では、周囲の見て周りたい場所のほぼ中心に位置するLedbury レッドベリーと言う古い町に二泊しました。予約していた郊外のホテルでチェックインを済ませ荷物を置いた後は、すぐに町へ出て夕食を取る事にしました。 

宿から500m程の場所にパブが在るのは、宿に到着する前に車で通過して確認していましたが、其処は素通りし、どうせなら明るい内に町の中心部を散策する事にしました。中心部へは、其処から広大な墓地沿いに歩き更に1㎞位あります。 

何せ、その日は残念な曇天だと思っていたのに、この町に到着した頃には快晴に変わり、絶好のお散歩&撮影日和になっていたのです。

レッドベリーの存在は、それまで一度も耳にした事がありませんでした。しかしネットで検索して、中世の木組みの家が多く残る非常に魅力的な町だと確信しました。

 期待した通り、古い重厚な建物が目白押しです。

更に、背後にはモーヴァン丘陵地帯の美しい風景。 

まるで絵本の世界のような、絵になる時計台もあり。この建物は、割と最近まで図書館だったそうです。

この石造りの重厚な建物は、かつてのalmshouse 救貧院の一部のようです。

木組みの家には大まかに二種類あり、チューダー時代に建てられた本物と、ヴィクトリア時代築のリバイバル流行です。例えば、以前訪れた事のある大聖堂都市チェスターは、後者が多いように思えました。

しかしここレッドベリーでは、前者の本物のチューダー時代の木組みの家がほとんどのようです。そう言う家は、木組みが半端なく歪んで不格好なので分かります。 

そして、そう言った古い家並みが保たれている町や村は、かつては羊毛産業等で栄えたものの、都会から遠く離れ立地が不便な為に、近代の開発からは乗り遅れた辺鄙な場所が多いと思います。

 

現在そう言う場所は、観光で再注目されています。ドイツのロマンティック街道も然り。レッドベリーの中心部にはホテルや飲食店が多く集まり、私が今まで知らなかっただけで、観光に人気の町なのが分かります。 

建物自体は何世紀も前に建てられたのに、一階はイギリス中で見掛ける普通のチェーン店になっているのが何だか可笑しい。右のBootsってドラッグストア、日本でも一瞬だけ展開していた事があるのを憶えている人居るかな?

この店には、P太と二人揃って笑いました。かつてイギリス中には「Woolworth」と言う良く知られたミニ・ホームセンターのようなチェーン店がありましたが、10年以上前に倒産して消えました。この店は、その店名だけでなく、ロゴのフォントや色までパクッているのです。でも本家自体が消えた今、この絶妙なセンスに気付く人も減って行く一方であろう

この町で恐らく一番目を引く、町のヘソに在るランドマーク的な存在なのが、この17世紀築の木組みのマーケット・ホール。

一階は柱だけのピロティ構造になっており、日が陰って暗くなると白い壁だけが目立ち、まるで宙に浮いているように見えます。 

この屋根付きの一階で、かつて市場が開かれていたようです。私が知る限り、こんな造りの古いマーケット・ホールやギルドホールが残っている市町村は、必ず街並み自体も魅力的です。

この時の二階では、ブラスバンドでジェームス・ボンド(007)のテーマ曲を爆音で演奏練習していたのが、強烈な思い出となって記憶に残っています。凄くイギリスらしいBGMと言えば、その通りです。