2022/08/24

スージー・クーパーの「ドレスデン・スプレイ」のクリーマー

 

いつも行くフリーマーケットで、このビンテージ陶器に出会いました。スージー・クーパーの中でも特に人気の高い、アール・デコ時代にデザインされた「Dresden Spray ドレスデン・スプレイ」のクリーマーです。

この時代のスージー・クーパーの陶器は、材料(陶土)がボーン・チャイナではない為に強度がイマイチで、状態の良い物は中々見掛けません。が、これはヒビ欠けは勿論、この時代の陶器に多い貫入すらない良好なコンディションで、値段はたった50ペンス(80)でした。日本のビンテージ・ショップでは、八千円から一万五千円位で売られていると聞きます。これだから、フリマ通いは止められません!

ドレスデン・スプレイには、色違いで縁や地色が緑色のも存在しますが、当時の国王エドワード八世が、後に王位を捨ててまで結婚する恋人のシンプソン夫人に、このピンクをセットでプレゼントした事があるそうです。それ以来、ドレスデン・スプレイは製造当時も人気を博し、1960年代まで製造し続けられました。昔もネットの発達した現在も、王室御用達は商品ヒットの大事な火付けでした。

少し前までは、このドレスデン・スプレイと、ほぼ同時期にデザインされたスウォンジー(スワンジー)・スプレイの区別を良く分かっていませんでした。しかし、今見れば一目瞭然。黄色い菊のような花の混じっているのが後者で、一層華やかで可愛い雰囲気です。

しかし、洗練されたバランスでは、ドレスデン・スプレイが勝るように思います。

ハンドルの形が、アールデコらしさを物語っています。

クリーマーとは、日本ではミルク・ピッチャーと呼ぶアイテムなのですが、イギリス人は紅茶にもコーヒーにもクリームを使わないのに、何故クリーマーと呼ぶのか不思議です。日本の飲食店でミルク・ティーを注文し、もし牛乳ではなクリーム(★ジャータとかの)が出て来たら、イギリス人は結構本気で怒ります。

 

 

2022/08/23

ブリリアントドールをリペイント(閲覧注意)

※顔のプリントを落としたのっぺらぼうの、または裸の人形の写真が登場します。苦手な方は御退室下さい。

この人形は、かつて(もしかしたら今も?)日本の百均屋でも売られていた事があるので、日本でもリペイント&カスタムに挑戦する人が多いとは予め知っていました。顔の造りが極めてシンプルな上に値段も値段だから、私のようなリぺ初心者にとっては最適のドールと言えます。

名称は、「ブリリアントドール」と言うらしいです(何がブリリアントなんだ…)。その中でも多分これは「カリーナ」と言う種類で、他にも同じ顔でもっと小さいサイズの「ミニョン」、また背の高い「ジョリードール」や「タイニードール」と言うのも存在したそうです。

カリーナはイギリスの1ポンド屋でも売られていましたが、何せ1ポンドは百円より高く、リぺの為にわざわざ買おうとは思いませんでした。しかし、今回はフリマで中古を20ペンスで手に入れられた為、リぺしてみる事にしました。

激安ながら髪型&髪色が数種類あってどれも可愛く、顔自体もシンプルながらそのままでも可愛くない事はなく、また顔の凹凸が鼻だけなので、いじり甲斐がありリぺする人が多いのも頷けます。瞳の下の白い点がナゾ。

この人形は、買った時からプラスティック製のボディが既に割れていました。ボディは元々貧相&粗末過ぎて交換するつもりだったので、とっとと捨てました。ピンク色の髪は可愛いのに薄汚れていた為、顔と一緒に水洗いし整えました。その際結構大量に毛が抜け落ちたものの、かなり見た目が良くなりました。


顔のプリントは、思った通り今までで最速で落とす事が出来ました。しかし、目や口、眉毛の跡がクッキリ残ってしまった…。その位置自体は悪くないので、この上にリぺするしかありません。更に、落とした際のインクが顔の素材に染み込んでしまったようで、何だか黒ずんでしまいました。こんなシンプルな作りな顔なのに、実は鼻だけは穴まであるのが意外。

リぺして、こんな顔になりました。元々丸顔&眼の位置の低い童顔で、僅かな鼻の突起以外には顔パーツの型押しも一切なく、極めてあっさり表現されている為、アニメ顔を目指すのには持って来いの顔の造りです。あんぐり状態の痕が残ったままだった口には、その上にオープンマウスを描き足しました。


しかしここまでは、この人形の色んな人のリぺ作品を見て来たから、やはり自分で出来るのはこの程度で、それ程劇的に変化するような面白い仕上がりにはならなかったなあ…と言うのが正直な感想です。

ところがボディを交換してみると、俄然創作意欲が湧いて来ました。このボディは、実はマドレーヌちゃんのです。その前に一応フリマで色々安いドールのボディをしばらく探しましたが、幼児体型で肌色の合う人形が、イギリスでは見当たりませんでした。もし日本であれば、迷わずセリアで売っている、あの100円可動式素体を利用した事でしょう。最後の苦肉の策として、マドレーヌちゃんを引っ張り出して来て(うちには今中古が三体居ます)、ごめんよ~と思いつつ、首を抜いて交換して見ると、肌の色、首穴の大きさ、首の太さ、全体のバランス共に違和感無し。随分急に成長しましたが()、このボディの大きさなら、服を作るのもそう大変ではありません。

夢カワな髪色と髪型に合わせて、花いっぱいの雰囲気のアウトフィットを作りたいと思いました。

少しコミカルなタッチのバラ柄のワンピースが、期待した通り似合ってくれています。

このマドレーヌちゃんのボディは、肘も膝も曲がりませんが、両腕の元から微妙に折れ曲がった形の肘がポイントで、結構ポージングのバリエーションが出せると思いました。

スタンドを使用すれば、子供らしい元気いっぱいなポーズをさせるのには十分だと実感。

足が大き目なので、靴の種類やポーズに寄っては、スタンド無しで自立出来ます。

マドレーヌのボディは、日本の多くのファッション・ドールと違い、腕が長くて手の平の大き目なのが、まるでおさるみたいで気になっていました。大人体型のドールの場合は腕が短いとお洒落に見えませんが、逆に幼児ドールは腕の短めの方が可愛いと思うので…。しかし写真で見る限り、意外に目立たないと思います。

確かに、リペイントには最適な素材です。ぴったりなボディも見付かった事だし、もしブリリアントドール(の中古)にまた出会えたら、再びリぺ&カスタムに挑戦してみるかも知れません。

 

 


 


2022/08/22

ハート型カボションのサフィレットのブレスレット

その日のフリマは、収穫が多くありませんでした。が、このブレスレットを手に入れました。其処は老婦人二人が、中々センスの良い古物を並べているストールで、最初は身長2cm程度のビスクドール(ちゃんと布製の服を着ている)が目に入りました。値段を聞くと、アンティークのガラス製のミニチュア食器とセットで10ポンドとの事で見送りました。次にこのブレスレットが目に入りました。最初は単なる古いブレスレットだと思いましたが、…どひゃ~、これ本物のサフィレット!!と焦りました。サフィレットは20世紀初頭までチェコ北部で製造された独特な色を持つ変色ガラスで、現在は製造法が解明されていない為、多くの宝石類よりも貴重で高価です。サフィレットなんて、フリマは勿論、アンティーク・モールやアンティーク・フェアでさえ、今まで一度もイギリスで実物を目にした事はありません。eBayでは出品されているので、当時チェコから輸入され、イギリスにも存在している事は知っていました。恐らくロンドンのアンティーク・ジュエリー専門店とかなら、然るべき値段では売られているのでしょう。

ブレスレットの値段を尋ねると、友人・知人からの委託品だそうで、スマホを掛けて値段を確認していました。どうか所持金内で買えますようにと、返事を待っている間はドキドキしました。例えこれも10ポンドだとしても、ウルトラお買い得には違いありませんが、持ち金が8ポンド程度しかありません()。ここで見逃したら、非常に悔しいのに決まっています。しかし値段は3ポンド(500円以下)との事で胸を撫でおろし、すかさず買いました。

こんなケースに入った状態で買いました。このケースはオリジナルではなく、ロンドンの骨董商の名称がプリントされてあり、つまり元持ち主はこのブレスレットをアンティークとして買った訳です。ならば価値を分かっていそうな物ですが、まあ今更考えても知る由がありません。

ボールチェーンが二ヶ所切れてハンダや糸で無理矢理繋げてあり、所々金具に緑青も出ていて、正直単なるアンティーク・ジュエリーとしてだったら状態は良くなく、フリマで3ポンドを払う価値はなかったでしょう。しかしサフィレットで重要なのは、やはり石の数や大きさです。例え壊れているジュエリーだろうと石だけだろうと、価値があります。イヤリングやブローチに比べ、ブレスレットやネックレスは石の数が多いので、やはり概ね値段が高いようです。このブレスレットなら、本当は200ポンドは下らないと思います。

状態は良くないものの、ハート型のカボションが爪留めで繋がった、花のように並んだ部分がアクセントの、デザイン的にも愛らしいブレスレットです。ネットで非常に似たデザインの物にヒットし、約120年前のエドワーディアン時代製と書いてありました。

本当に摩訶不思議な独特な色合いで、何度眺めても飽きません。今はフリマでもビンテージ・ジュエリーの人気が上がって来ているようで、ちょっと良いなと思い、後でもしお金が余ったら買おう程度に思っていると、すぐに売れて無くなってしまいます。しかしその日は早起き鳥システムを利用した訳ではないのに、誰もこれがサフィレットだとは気付く事無く(恐らく私の前に値段を尋ねた人も居なかったであろう)、こうして無事自分の手元に入った事は、正に運命の出会いと言うか奇跡のように感じます。

 

 

 


2022/08/21

ベルギー・レースの猫の額装

今月、イギリスは再び熱波に見舞われました。40度には達しませんでしたが、体温に近い気温は記録し、警報が出てフリマは中止されました。そりゃ熱中症で倒れる参加者が出ては開催側としては厄介だからですが(脇の草むらに寝っ転がっている人は普段でも沢山居るが)、暑さでフリマが中止になる事があるなんて、昨年までは想像していませんでした。これは、その中止された前の週のフリマで、10ペンスで買った物です。

今でもベルギー・レースで良く掛けるタイプの土産物で、猫のレース・モチーフを額装した物です。楕円のフレームはプラスティック製ですが、カバーはアクリル板ではなくガラス製で、ちょっとだけ古さを感じます。

びっくり目で可愛いとは言い難いのですが、猫の動作や立体感はレースで良く表現されていると思います。少なくとも、世界的に有名なベルギーのイーペルの(化け)猫祭りよりは、日本人にも受け入れられ易い感覚です。