すると、売り主の女性から「その布全部、バスケットごと一纏めでたった1ポンドよ!」と声を掛けられ、…こりゃ買うしかありません。
中型犬用のラタン製の寝床型バスケットに、中古布がぎっしり詰まっている状態で売られていました。パッチワーク用っぽい薄手の端切れもあれば、反物と言える程の長い生地、紳士服用ウール地、コーデュロイ、スムースニット、ボア、インテリア用の厚手生地、服の型紙、ブラウス、ショールも入っていました。ドール服だけでなく、背景布にも利用出来そうな布が結構混じっていました。総量も相当な重さで、当然持ち運びながらフリマ会場を歩ける訳がなく、取り置きして貰って最後に引き取りました。
故人の家族の手芸材料を一気にフリマで処分すると言うのは、フリマで時々見掛ける光景ですが、これもそんな亡くなった方の材料なのだと思います。しかし、そう言う手芸材料は大抵80歳代以上の女性の持ち物だったように見えるのに対し、このバスケットの布の場合、残された布のセンスから、比較的若くして亡くなった方なのではと勝手に想像しました。その売り手女性は30歳代位に見えたので、もし彼女のお母さんの持ち物だったとしたら60歳代、もしくは50歳代だったのかも知れません。
私の母も義母も、今まであらゆる手芸・工芸に手を出しましたが、この布の元持ち主も、随分意欲的に色々と挑戦したと言う事が、この布詰めバスケットからだけでも読み取れました、ドレスメイキング、パッチワーク、そしてイギリスの個人の手芸趣味としても珍しいなと思ったのがタイダイ、特に蝋結染めです。残された布の中には、未だ蝋の付いたままの物も混じっていました。↑上の写真は、そんな蝋結染めをアップリケにしてパッチワークに縫い付けようと試みたらしいのですが、上手く行かず途中で諦めたようです。
そのバスケットの中で一番多く残っていたのが、この小花柄の生地でした。薄い目の細かい滑らかなコットン生地で、ブロードのように見えます。柄の細かさや密具合は、1/6ドール用のアウトフィットに理想的です。解れにくくアイロンは利き易く、唯一心配だった針通りも問題無しでした。大量にあると言ってもこの布は、一体何を制作した後の残りなのか推測出来ない、非常に中途半端な変な形の端切ればかりが何枚もあります。しかしドール服を作るのには一向に問題ありませんし、返って躊躇無く切り刻めます。
試しに、rurukoにシンプルなワンピースを縫ってみました。元々はリカちゃん用の型紙で作りましたが、オビツ・ボディのrurukoの方が合うのでモデルになって貰いました。
ドール服にとっては使い易いプリントな反面、無難過ぎて地味で面白みがないかもと思いましたが、服に仕上げると意外と可愛く見えると思いました。
渋めの色合いのバラ柄の中に、一つだけ蛍光掛かった鮮やかな赤の混じっているのが結構利いています。地色が純白ではなく、クリームに近い生成りなのもマル。
地味なのは、装飾次第で何とでもなります。このプリントの柄なら、どんなに幼い、または大人っぽい人形にも合いますし、どのサイズのドール服にも利用出来そうです。
この金髪ツイン団子のrurukoには、次はガーリーな服装をさせてみたいと思っていたので、丁度都合の良い出番となりました。
兎に角、こんないかにもおにんぎょさんな服を、ちゃんと着こなしてくれるモデル・ドールには心底ホッとします。イギリスで、そうでないドールばかり見ているものですから。
袖とスカートの裾に使ったのは、やはり随分前にフリマで手に入れたビンテージ・レース。スカートの下には、パニエを入れて膨らませています。後姿はこんな感じ。
一緒に写っているバラは、庭から採って来たイングリッシュ・ローズです。冬の間は、ブログ用の撮影の背景小道具に役立つ花々が庭で咲くのを心待ちにしていましたが、やっとその季節が来て今後しばらくは不自由しません。
我が家のバラが沢山咲くようになってから、切り花を買う事もとんとなくなりました。イングリッシュ・ガーデンの代表的な花の中には、実は犬猫にとって有害な物も多いので、バラが一番切り花としても安心です。
因みに、布の入っていたバスケットは、未使用のような綺麗な状態でしたが、かなり乾燥しているらしく、運んでいる内にもラタンがぱりぱりと折れて来て、処分するしかありませんでした。
しかし捨てる前に試しに、猫には珍しく狭い寝床が好きじゃないタラちゃん用に、クッションやタオルを敷いて置いてみましたが…、やっぱりさっぱり見向きされませんでしたあ(涙)。
この小花柄の布なら、今後ドール服の試作にも何か役立ちそう。解れにくいので、解れ留めなしで即制作に掛かれそうですし。兎に角大量にあるので、心置きなく利用出来ます。
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