2025/07/30

ヴァージニア・ウルフの家「モンクス・ハウス」 3

 

昨年の七月に訪れた20世紀前半に活躍した作家ヴァージニア・ウルフの家「Monk’s House モンクス・ハウス」のが、イングリッシュ・ガーデンの魅力的な見本として参考になり得るのは、全体的にはかなり広いものの、異なったテーマ&テイストで結構細かく区切られているからなのも、理由の一つとして考えられます。

中心に小さな池を持つ、敷石で覆われたここは、石像が置かれフォーマルな雰囲気。

 温室も在り、園芸愛好家が憧れる物は何でも揃っています。

中では、次に地植えする為の植物等がスタンバっていました。 

リンゴの実る果樹園も在ります。

その脇には、小屋風の離れも在り。

中には、ウルフ夫妻の写真が展示されています。

モンクス・ハウスの模型も置かれていて、煙突からコインを入れて募金出来る仕組み。

ここは、ヴァージニア・ウルフにとってお気に入りの執筆場所だったそうです。 

かつてヴァージニア・ウルフと同性愛の恋人関係にあった、ヴィタ・サックヴィル・ウェストの住居Sissinghurst Castle シシングハースト城にも執筆用の離れが幾つか在り、作家の中には離れに閉じ籠って執筆活動するのを好む人が多いのかも知れません。

そして庭のほぼ中心に在る、この木陰が心地良さそうな緑地は、実はウルフ夫妻の墓所です。

ヴァージニア・ウルフは、1941年の59歳の時に、このすぐ近くのウーズ川に身を投げて自殺しました。元々鬱病を患っていた上、新作を評論家に酷評されたのが決定打になったそうです。

また夫はユダヤ人で、夫婦揃ってファシズム嫌いだった為、二人の名はヒトラーのブラックリストに載っていたそうです。世界のファシズムや反ユダヤ主義がどんどん過激化して行く時代だったのも、彼女が世の中に絶望する原因の一つになったのかも知れません。

海に近いここは川にも潮汐が在る為、彼女の遺体捜索は難航したらしく、やっと20日後に数マイル程下流で発見された時は、極めて悲惨なドザエモン状態だったと、NTのボランティアさんが話して下さいました。

ヴァージニアとは幸福な婚姻関係にあった夫のレオナードは、地元の村に貢献しながら、1969年に88歳で亡くなるまでこのモンクス・ハウスに住み続けました。

彼の死後この家は親友に遺贈され、1972年にサセックス大学に売却された後、1980年にNTの管理下となり一般公開されるようになりました。

細い道路しか通じていない辺鄙な村に在り、駐車場の数も限られ、何せトイレもないのが不便な為、一度訪れたら十分で、正直そう何度も来る場所ではないとは思いました。しかし確かに庭は素晴らしく、建物もヴァージニア・ウルフについても興味深く、やはり一度は訪れる価値が有ると思います。

 

 

 


0 件のコメント:

コメントを投稿